ガルパン聖地はこんなところだった 〜大洗訪問レポ〜
今、世を席巻してる”ガルパン”ことアニメ「ガールズ&パンツァー」。女子高生が戦車で戦うという、字面だけだとなんともフェチ要素の高そうなアニメですが、その熱い内容と完成度の高さからオタクの間ではかなりの人気を誇り昨年末に公開された劇場版は異例のロングラン大ヒットになっています。
そんなガルパンが世間一般的な市民権を得ているかというと、まあ少なくともその辺の女子高生や主婦が「ゲス極ベッキー」や「SMAP」の話題同じ感覚で「ガルパン」の話をする光景は(少なくとも私は)見たことがないので難しいところなのですが、ことガルパンの舞台となった茨城県大洗町に関しては別です。大洗におけるガルパンは市民権、というか大洗町民権は獲得していると思われます。なぜなら、アニメ側も地元も一緒になってガルパンを町興しとして全力でプッシュしているからな訳です。
じゃあ実際大洗の町って今どんな感じなのよ、という疑問をもつ皆さん(あるいはガルパンファンだけど大洗にまだ行けてない皆さん)に、今の大洗はこんな感じでしたというのを伝えるべく大洗ガルパンレポートを敢行しました。
ちなみにTVシリーズや劇場版の内容に触れている箇所もあるのでネタバレ等気にする方は気をつけてください。
今回大洗へ行ったのは1月某日。
大洗へは上野駅から電車を使って鈍行なら所要時間2時間40分ほどで片道2500円ほど。特急を使えば片道4000円ほどかかるものの1時間半で着くため、東京から日帰りでも十分いける場所です。
ここで注意して欲しいのが水戸駅から大洗駅へ行く鹿島臨海鉄道はICカードが使えないという事。初見ではまず突破できないトラップとして、おそらく大洗を訪れるオタクの9割が大洗で駅員さんに怒られた経験があると思われます。確実にこの難所を突破するためには、面倒ですが一度水戸駅でカードを使って降り、外で鹿島臨海鉄道の往復切符を買い直して再び入るという方法。これで他のガルパンオタクに一歩リードしましょう。
で、大洗駅に降り立つと早速『祝 全国大会優勝 県立大洗女子学園』の旗が。この学校はガルパンで主人公達が通う学園で(作中の戦車道大会で優勝した設定)もちろん実在してないんですが、何も知らない人が見ると実在する高校が何かの大会で優勝したんじゃないかと思われそう。それくらい平然と飾ってある。
あと地味の下の「自衛官募集」のポスターもなかなかに萌え萌えの媚び媚び。ガルパン聖地に来たオタクをそのまま懐柔しようとする自衛隊の広報力が垣間見える。
大洗駅には構内にもしっかりとしたガルパンのギャラリー、外に出ればガルパンの顔出しパネルともうここからガルパン!ガルパン!!ガルパン!!!といった凄みを感じます。
で、大洗での移動は徒歩でももちろん大丈夫なのですが現地で自転車を借りて快適なクルージングもできます。なんと、大洗ではガルパン痛チャリをレンタルできるサービスもあります。私はアウトレットの所で借りました。しかもキャラクターだけじゃなく戦車の痛チャリまである。“戦車の痛チャリ”って”乗り物がデザインされた乗り物”なんだけど、その辺大丈夫なのだろうか。大丈夫ってなんだ。
ちなみに最近は予約してから行くのが吉らしい(特に土日)。お気に入りのキャラの痛チャリでオタク達をまた一歩リードしよう。
痛チャリ。1日借りて500円。キャラクターを下にするタイヤの止め方は某人曰く””NG””らしい。麻子さんすいません。
痛チャリも借りられて服も買える素敵なアウトレットの近くにはガルパンでお馴染みのタワー、通称(?)“ガルパンタワー”が。 正式名称は大洗マリンタワーらしい。設計者の人もまさか”ガルパンタワー”なんて呼ばれるなんて思わなかっただろうな…中にはガルパン喫茶”パンツァー・フォー”も結構最近できたようで、土日はオタクで大賑わいです。
大洗マリンタワー。正直なんでこんな田舎の港町にタワーがあるんだろ…疑問…
劇中にも出てくる”アンツィオ屋台の鉄板ナポリタン”。結構美味しかった。850円。
ここから痛チャリを駆って街の中心地へ。中心地といっても本当に片田舎の商店街といった感じで、のどかなところです。で、歩いてみれば分かるんですがとにかく至るお店にガルパンのキャラクターポップが立っているではありませんか。あっちにも美少女、こっちにも美少女、そっちにも美少女…こんな田舎の少し古びた地元の商店街に美少女の看板がズラリと並んだ光景は冷静に考えると正直異様なんですが、まあそのうち慣れます。
俺たちのダージリンさん。右が初期の看板で、左は比較的最近設置された綺麗なもの。ヒットして予算が増えたのだろうか、最近の看板は明らかに印刷が綺麗。
果ては自販機まで”ガルパン”仕様。大洗商店街の底力を感じる。ちなみにキャラクターの看板とそれに準じたお店のスタンプラリーを制覇しようと思ったら最低でも一泊する覚悟は必要だそう。それくらい数があります。
とまあ、商店街だけでも他の街ではとても見られないような景色が繰り広げられています。何より面白いのが地元の人はは自分の店のキャラクターは店の看板娘的な扱いをしていて、独自にグッズを展開したり、ファンが寄贈したイラストを飾ったりしていること。地元の人の間ではキャラ名より「〇〇さんトコの娘」で通じているらしい。凄まじい馴じみ方だ。
そんな理解のある大洗の皆さん、何を思ったのが自分たちまでポップにしてキャラクターと並べてしまっているのである。アニメの美少女キャラとともに地元の人が並ぶ光景はなんとも言えない迫力がある。下手するとキャラクターの看板はないのにオーナーさんの看板はある店などあり、とりあえずポップがあれば強いみたいな感じさえある。
とはいえ商店街は劇中で試合が行われた場所なので歩いているだけでも見覚えのある景色の連続でなかなかにテンション上がります。
商店街には劇中のキャラクターも食べている串揚げ屋さんや喫茶店、釣具屋、文具店、ブティック、魚屋などなど…正直なんでもあります。まあ商店街だからね、そりゃなんでもあるよ。各お店ではそのお店が独自に作ったガルパングッズも沢山あり覗いてみると面白い。そして至る所にガルパンキャラとオーナーのポップが乱立しているわけです。
商店街を抜けると劇中でもお馴染みの大洗磯前神社に着きます。道路にまたがる大きな鳥居が目印。
で、やっぱりというかなんというか、そりゃもう痛絵馬だらけですよ。日本だけじゃなく海外の方までガルパンへの熱い想いをぶつけております。神社側は巨大痛絵馬を境内に置いている以外は特にアニメ色もなく、落ち着いた良い雰囲気の神社です。まあ普通の神社に巨大痛絵馬とか置いてないけど。
劇場版で戦車が下った大階段。正直結構急だし怖い。ただ眺めはめちゃくちゃ良いです。
神社近くには劇場版で戦車が航空機から降りてきたシーンで使われた陸橋も。
さて夕飯です。大洗といえば何と言ってもあんこう。あんこうといえばどぶ汁。という事でこの日の締めにはどぶ汁を頂きました。あんこう鍋とどぶ汁の違いは炒めた肝を入れるか入れないかだとか…それはさて置き、このお店のどぶ汁がもうめちゃくちゃ旨い。本当に。びっくり。
確かに色はなんともアレですが、本当に美味しい鍋。最後はご飯で雑炊に。最高。
このお店のどぶ汁は1人前3.600円。他に新鮮なお刺身や美味しいお酒を頂いた。結論、旨いものはいいぞ。ガルパンに興味のない人でもこのどぶ汁を食べるためだけでも大洗に行く価値はあると断言してもいいくらいです。ほんと。
さて、帰りももちろん俺たちの鹿島臨海鉄道な訳ですが、もちろんありますガルパンラッピング電車。出会えるかどうかは運ゲー(もしかしたらダイヤがあるかもなのでその辺は詳しい方へ)ですが、車外だけでなく車内もガルパン仕様。夏にリア充海水浴客がこの列車に乗って不思議そうな顔をしているとなんとも言われぬ気持ちになります。
気合の入った外装に対して内装はなんともこう、手作り感のある趣深い感じです。そこがまた良い。
という訳で大洗ガルパンツアーはここまでです。1日かかって商店街やらのアニメ聖地を巡礼しつつ、最後には美味しいご飯も頂けるプランでかなり満足度高かったです(といっても詳しい方に組んでもらったプランなので私は何もしてませんが…)。ちなみに大洗のお店はそれほど遅くまでやっていない様なので、活動は朝早くから始めた方が良いかと。
さて、今回の大洗ガルパンツアーズの予算は
・交通費 往復約8,000円(特急使用)
・痛チャリレンタル 1日500円
・喫茶パンツァー・フォーのナポリタン 850円
・どぶ汁 1人前3,600円(要予約)
その他お土産で干し芋を買ったり商店街のお店での買い食いも考えると予算は日帰りで1万5,000円ほどでしょうか。もちろん大洗には他にも水族館(大洗シーパーク)や温泉なんかもあり1日ではとても遊び尽くせない街です。宿泊して休日丸々ガルパンに浸るというのも一興かもしれません。
全体の感想として大洗という町のガルパン町興しは、所謂アニメ聖地興行にありがちな雑感というか、申し訳ない程度に一部でやってますみたいなのに比べると遥かに本気で取り組んでいる熱量を感じます。お店の人がキャラクターを看板娘のように理解ある売り出し方をしているのにはなんともほっこりさせて貰えるし。ガルパンのアニメ放送開始が2012年の冬という事を考えると、イベントなども地元の人の協力のもとコンスタントに開催し、熱気を絶やさぬようにしているのにも好感を覚えます。
ただ聞くところでは大洗の人全員がガルパン町興しに対して良いイメージを持っている訳でもなさそうなので、その辺はちゃんと知った上で訪れた方が良いと思います。
どぶ汁を頂いたお店の気の良い女将さんが「どこかの子(ガルパンキャラのこと)の誕生日か何かのイベントになると、黒い服の人たち(間違いなくオタク)が町中に溢れるけど、もうちょっとお洒落してほしいわねえ」と冗談交じりに言っていましたが、冷静に考えても黒服のモサモサした集団が町を闊歩してて良い気持ちになる人も少ないと思うので、オタクの人たちは身嗜みに気をつけて大洗へ行きましょう。
結論:アニメ聖地を訪れるオタクは身嗜みをがんばれ。
という事で大洗レポート終わりです。
と、最後に大洗で思ったこともう一つ。大洗の公式マスコット(ガルパン関係なし)のアライッペ君。どうも名産のしらすをモチーフにしたキャラクターで、ゆるキャラグランプリも狙っているらしい。が、なんと申し上げたら良いのか、ちょっとキモい。メデューサみたいだ。これがキモ可愛いというやつなのだろうか。でもアライッペで町興しは難しそうだし、そう考えるとガルパンの力はすごいなと思いました。
K.すみす
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