己の中の香取慎吾像を、打ち壊せ! 『俳優 香取慎吾の世界Vol.1』イベントレポ
11/21に開催された『俳優 香取慎吾の世界Vol.1』に参加したので、レポートします。
これは、10時間ぶっ続けでSMAPの香取慎吾主演の映画を見続ける集まりです。
開場から上映終了まで、香取慎吾がCMをつとめた食料品しか口にしてはいけない決まりです。

Doleのバナナ、大塚製薬のポカリスエット、味の素のマヨネーズ、冷凍食品、コーンスープ、現在新発売の明治十勝スマートチーズなどなど……

味の素の冷凍食品とマヨネーズの奇跡のコラボ。舌で香取慎吾を感じろ!
えっと、意味が分からない人がほとんどだと思うので、この集まりの趣旨を説明すると……。
・世間の大多数の人が香取慎吾および、香取慎吾主演の映画をバカにしている。(ほげー!、なまか等)
・ネガティブな先入観抜きで香取慎吾をちゃんと見るということを、世の中の人はしていない。
・じゃあ、香取慎吾の主演映画を全力で観ちゃおうよ! 香取フードを食べて、香取君をもっと身近に感じちゃおうよ!
です。
ああ、開催とか書きましたが、俺の家で上映会をやっただけです(参加者は4人)。

だいたいこういうのを見て「やっぱクソだよなー」と馬鹿にする人がほとんど……。くそ食らえ!
香取慎吾の新作主演映画『ギャラクシー街道』には綾瀬はるかも出ているので、綾瀬はるかサーガ・新章の幕開けとしても注目したいですね。
思い返せば平成生まれの私、フィーバー吉崎はテレビを付ければ香取慎吾(というかSMAP)の姿を観ていました。
それは空気のように自然に、感謝することはもちろん、意識することすらなく香取慎吾に触れていました。
慎吾ママだとか、『透明人間』や『蘇る金狼』の再放送を観て育ってきたわけです。
で、上記のようにまとめ速報なりでこういったふうにネタにされているのを見て
「ほんとうにこのまま香取慎吾をバカにしていていいのかな? 香取慎吾とちゃんと向き合って、見つめなおさねばならないのでは?」
と思い立ったわけです。
今回上映したのはこの映画(観た順)。
『西遊記』2007年
『座頭市 THE LAST』2010年
『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 〜勝どき橋を封鎖せよ!〜』2011年
『香港大夜総会 タッチ&マギー』1997年
本当につまらなくて耐えられなかったときを想定して
「つまらなさそうな映画」→「面白そうな映画」→「つまらなさそうな映画」→「面白そうな映画」
のローテーションを組みました。
1本目『西遊記』2007年
えーっと、ごめんなさい。これが一番きつかったです。
見どころは、多部未華子のかわいさです。とにかくかわいい。いきなり話がずれてしまいましたね……。
香取慎吾は体が大きいので、感情の赴くがままに行動する孫悟空には嫌な迫力(いわゆるパワー系池沼のそれ)がありました。体が大きい役者はじっとしてた方がいい。
演技がどうのこうのよりも以前に、作品としてあまり面白くなかったです。
テレビのスタッフがそのまま劇場版を作ったのかな? という印象でした。画面に情報量が少なく、間がおかしいところがありました。通行人がほとんどいない画面を歩く、妙にテカテカしたコスチュームの三蔵法師一向を見ていて居心地の悪さしか感じなかったです。
調べたところ、監督は映画初挑戦だったみたい。
2本目『座頭市 THE LAST』2010年
なぜかいろんなメディアから黙殺されていたような気がする本作ですが、かなり面白い映画でした。
キャスト陣がめちゃくちゃ豪華。あの仲代達矢も出演していました。
これね、西遊記と座頭市を続けて観て思ったんですけど、っていうか元も子もない言い方なんですが、俳優ひとりの演技力で作品がつまらなくなったり面白くなったりすることはない気がします。
嫌な言い方をすると「誰が足を引っ張って映画をつまらなくするか」はあるのかもしれません。
予算だとか、どんなセットを組むかとか、どんな撮り方をするか、俳優にはどんな演技が求められているか。
すべて調和がとれていればそれなりに面白くなるような気がします。
今回の座頭市はすべて高水準でまとまっていました。かゆいところに手が届く、いい作品でした。
山形県庄内村に生活感あふれるセットもつくり、雰囲気もばつぐんです。
この庄内映画村は『るろうに剣心』だとか、『十三人の刺客』なんかも撮っています。

『座頭市 THE LAST』の舞台は漁師町。漁師もちゃんとふんどしをまいて画面の中を歩き回る。
で、香取慎吾の演技なんですがなんでも、香取慎吾は監督と一緒に1年近く盲人用の卓球をやるなど、盲人を研究していたそうな。ついでに撮影の一年前から殺陣の練習も行っていたようです。
座頭市というキャラクターに関して、そもそも勝新太郎が一生をかけて積み上げたノウハウがあるわけで、圧倒的な“座頭市ガチ勢”である勝新太郎の呪縛から人は逃れることはできないと思います。なので勝新太郎の座頭市とは比べません。
控えめの演技で淡々としている香取慎吾はそれなりに良かったですが、いかんせん声がきれいでかわいすぎる。すすけた役をやるときには障害になるかもしれません。
盲人は耳をそばだてる際に顔をしかめるので、賢者のような雰囲気が出ます。顔をしかめる演技は香取慎吾の顔立ちと合っていました。
陰か陽かでいえば、香取慎吾の顔は圧倒的に陽。香取慎吾がCMを務めた食品は黄色が多い。これも、なんとなく香取慎吾のイメージに近い色なのかもしれません(バナナ、コーンスープ、マヨネーズ)。
香取慎吾は口角が上がりやすいので落ち着いたトーンの作品では気を付けないといけないような気がします。
佇まいはよかったです。背丈があるのはいいことです。
また今作はいろんなギミックを仕込んだ戦闘シーンや演出があり、目を見張るものがありました。
付随して、今回の座頭市は口笛を吹いてエコーロケーションを駆使する設定であり、決戦に際して口笛とともに現れる市の姿にはしびれました。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 〜勝どき橋を封鎖せよ!〜』2011年
えーっと、深キョンがかわいかったです。ほんとうに深キョンがかわいかったです。
あまりにもかわいすぎて「あっ! 深キョンだ!」と言おうとしたら、興奮しすぎて「あっ! フキョッ、フキャキャッ! ホキャッ!」と猿のように吠えてしまいました。西遊記のせいかもしれない。
このこち亀劇場版のお話は3つに分けられます。
1つ目はギャグタッチのパート、
2つ目はこち亀に時々ある下町人情劇のちょっとイイ話、
3つ目が出来の悪い踊る大捜査線みたいなやつ。これが上映時間の大半を占めています。
実は自分としては1つ目と2つ目に関しては面白く観られました。
これはまた調和の話に戻るのですが、ギャグパートで両津や派出所のメンバーが出てきて、ギャグパートに準じた演技をすることは別にかまわないなという印象です。
両津勘吉という強烈なキャラクターを実写化するのですから、どう演技をしても正解はない気がします。
やはり西遊記の時のようなパワー系池沼のような雰囲気が出ていました。でも香取慎吾は悪くない。仕事だからどうにもならない。みんな香取慎吾をバカにするな!!!!!!!
で、出来の悪い踊る大捜査線パートなんですが、誘拐事件の話でした。
突飛なことも起きず、派出所のメンバーは出番がほとんどありませんでした。
淡々と進んでいく捜査の合間に漫画のような派出所メンバーが出てくる違和感がつらかったです。
堅物しかいない捜査本部に突然「ワシだ! 両津だ!」とやられても困るわけです。
Doleバナナが唐突に登場するのが一番のお笑いポイントでした。

「うめェ―!」とDoleバナナを食べて絶叫する香取慎吾
『香港大夜総会 タッチ&マギー』1997年
名作です、みんな見ろ! 見ろとしか言えない。
この映画は香取慎吾の初主演作です。オール海外ロケ、日本人キャストは岸谷五郎のみ(泉谷しげるがカメオ出演してたけど)。
返還直前の香港を舞台に、事件に巻き込まれた香取慎吾と岸谷五郎がショークラブに潜伏する、といったスラップスティック仕立てのお話です。現地のキャラクターが香港返還とどう向き合うか、自分は何になりたいのかといった話にも触れており青春ムービーとしてもよいのではないのでしょうか。
そして、テレビ局が作った映画なのにとても面白いという点にも注目したいです。こんなこと言いたくないんですが「いいなあ、この時代は楽しそうで」と思ってしまいました。
香取慎吾は追っ手を騙すために女装をしますがこれがなかなかキレイ。ガタイの良いキャラクターが女装するという面白さ、それなのに結構サマになっちゃう。これができる器はなかないない。キャスティングの着眼点がすごいと思います。

イカスぜ!
で、岸谷五郎がハードゲイの役で、香取慎吾を幾度となく犯そうとするんですね。

陰茎と肛門がキスしている瞬間
このときは香取慎吾が全力で脱糞して岸谷が萎えたので事なきを得ました。
その後、おもむろに故郷の母親と国際電話をしたり、紙袋をかぶって歌を歌いだしたりと、なかなかの壊れっぷり。
余談
香港の女優さんであるアニタ・ユン(袁詠儀)もキュートでした。
余談終わり
このタッチ&マギーの香取慎吾は要素だけ抜き出すと最初に女装、英語、犯されそうになるといったハードな役を要求されています。そしてちゃんと様になっている。すごいと思います。
西遊記やこち亀、ハットリくんへの出演が相次いで(あとはドラマでも普通じゃない役が多い)、コスプレ芸人のような扱いになってしまいましたが、もしかしたらこのタッチ&マギーで「おっ、香取慎吾なんでもできるな~」とプロデューサーが思うようになってしまったのかも……。
今回は『LOVE まさお君が行く!』は以前観たときにあまりにもつまらなくて寝落ちしてしまったのでスルー。
『NIN×NIN忍者ハットリくん THE MOVIE』も思うところあって今回は外しました。
現在公開中の『ギャラクシー街道』がソフト化されたときに合わせて『俳優 香取慎吾の世界Vol.2』を開こうと思います。
自分としては、香取慎吾が年を取ったらどうなるのかがとても気になります。
年相応の役が回ってきたら、年相応の演技ができるようになる。香取慎吾はきっと進化すると思います。
フィーバー吉崎は、俳優・香取慎吾さんを応援しています!
火曜担当 フィーバー吉崎
サクセス本田とフィーバー吉崎
都内を徘徊する無職のフィーバー吉崎。
二人で一つ。
藤子不二雄のような共同アカウントです。
Latest posts by サクセス本田とフィーバー吉崎 (see all)
- とにかく安く、手間をかけずに燻製を楽しむ【入門編】 - 2017年1月22日
- ラーメン二郎を食わされた二次元キャラランキング in Pixiv - 2016年4月5日
- シャブ+電波×大地康雄=『深川通り魔殺人事件』(’83)【川俣軍司】 - 2016年3月1日