Radioheadがまた東京で”Creep”を歌ったこと。

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気まぐれで昔のヒット曲を演奏しただけでリスナーの質にまで話題が及ぶRadioheadは、やはり異常だと思った話。

SUMMER SONIC (以下サマソニ)2016 東京2日目、ヘッドライナーとして登場したRadioheadは前回のサマソニ出演以来、またもこのステージで、日本では実に13年ぶりに初期の大ヒット曲「Creep」を演奏した。

まあね、確かにCreepは曲の知名度に反してライブで聴くチャンスの非常に少ない曲なのに、今回のa moon shaped poolツアーでは東京公演に至るまでに何回か演奏されてたし、前回のサマソニ出演の事もあったからCreepへの期待はライブ前からかなり高まっていました。で、今回も“東京でだけ”彼らはCreepを演奏した。大阪では前回同様演奏していないのだ(これが大きな火種となっている)。

とはいえ、はっきり言えば”たったそれだけの事”なわけですが、この事をきっかけに根暗音楽リスナー達の変なスイッチが入ってしまいSNSでは東京・大阪のセットリスト比較論争から、挙句はリスナーの質にまで話題が及ぶという「大Radiohead討論会」とでも呼ぶべき、地獄みたいな光景が繰り広げられていたのです。

中でもやはりというか、「Radiohead信者日本代表」かつ「面倒くさい音楽オタク日本代表」みたいなポジションである元SNOOZER編集長田中宗一郎氏が今回のレディへ日本公演に言及したツイートが「反Creep派」とでもいうべき派閥の意思を代表していたように思うので、抜粋。

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こんな調子である。また同時期に発表されたフランク・オーシャンの新作『ブロンド』に対する日本の盛り上がりに期待できない事にも言及していて、今回の「Creep騒動」と合わせて日本のリスナーが世界の音楽シーンから取り残されている〜〜みたいな所にも話にも及んでいた(まあ正直この人の性格からして批判せずにはいられなかったのだろうとは思うけど)。

確かに田中宗一郎氏の言う「非常に出来が良いにも関わらず盛り上がりにかける新曲に反比例して過去の人気曲には大きく反応する観客」「今の彼らの曲・セットリストの流れから大きく浮いたCreepの異物感」みたいな批判も分からなくないのである。
とはいえ僕自身「Creep」が今回のツアーで度々演奏されていると聞いて、正直「せっかくなら聴きたい」みたいな気持はあった。だってあの、ジョニーの「ガガッ」みたいなギターの音とか、トムが全力で「ラァ〜〜〜〜〜ァアン!!!!」とか歌ってるの、ファンなら一度くらい生で聴いてみたいじゃない。ほんと、それくらいの心持ちだったし、やっぱりあのイントロが聴ければ盛り上がるでしょ。だってライブの少し前にリリースされた新曲とは、聴いてきた回数に天と地ほどの差があるんだから。てかRadioheadに限らず、どのミュージシャンであっても滅多に演らない人気曲の演奏が聴けたら、そりゃ盛り上がるでしょうよ。

Creepやlet downといった曲を演奏したのはRadihead側にも確かに何か深い意図があるのかもしれないし、新曲が盛り上がらないから仕方なく演ったとか、単なるファンサービスかとか、そんな事は今誰にも分からないのである。

それを「Creepを聴けた東京組は勝ち。大阪組は負け。」だの「Creepで無邪気に盛り上がる観客はリスナーとしての質が低い」だの「Creepは皆で合唱するような曲じゃない。お前らは分かってない」だの「俺は玄人ファンだからCreepなんか嬉しくもないしもっと聴きたい曲あった」だの……もうね〜〜あの時のSNSは“いかにもRadiheadを聴いてきた根暗音楽好き”達のつまらないプライドやら嫉妬心やら音楽論やらが大混雑してて最悪で最高でしたよ。そんなにも醜くい姿を晒さずにいられないのは、やっぱRadioheadファンの哀しいサガなのかと。まあ、それだけ想いがあるのでしょう。

なんにせよ、たった一曲演奏しただけでここまでファンを狂わすRadioheadというバンドは、やっぱり特別な存在なんだなと感じた今回のサマソニでした。おしまい。

 

K.すみす

K.すみす

白とチーズとペンギンと音楽と野球
K.すみす