今年読んだ本(3)


またも前回の続き!

ある日突然夫が失踪してしまった主婦の話なのだが、ジャンル分けするのが難しい漫画だ。失踪した夫を追うサスペンスでもなく、徐々に狂う主婦のホラーでもなければ隣に住む少女の成長物語でもない。どのジャンルにも当てはまらない所がこの作品の魅力でもあり、怖さでもある。

青春漫画のクラシックをまとめて読んでいた時期に購入。まあ、この漫画の中で登場人物が直面する事実は2016年において全てインターネットで解決するんじゃないのか?とも思うが、かと言って現代の学生に悩みが全く無いのかと言えばそういうわけでもないので、普遍的なもがきの話として楽しめた。

内容は普通のヒーローものなのだが、セブンとかレオがゾフィーのことを「兄さん」って呼ぶのに父親や母親のことは「ウルトラの父!」とか「ウルトラの母!」と呼んでいたり、不自然におどける敵キャラなど、笑わせようという意識がないのにおかしさが天然でにじみ出ている。コロコロコミックで連載されていたらしいがコミックボンボンで連載されていたコミック版「餓狼伝説」に近いとも言うべきか。

原作と終わり方が若干異なっていたらしいドラマ版は未見。めまぐるしく面白さがグルーヴしていた中盤と比べて普通の勧善懲悪になってしまっていたのと、カラがヒロインの猪熊に執着していた理由や、カラの異常なフィジカルの強さの理由等、悪役の掘り下げがちょっと足りなかった。

顔が変わることにより内面も変わってしまう話は楳図かずおが何回か題材にしていたが、ここには美醜の無意識さによるコンプレックスと自信を描いていて、主人公は顔が変わることによって他人の自意識にも巻き込まれている。他者の顔を手に入れて他者の自分を手に入れた場合、そこに自我は存在するのか?というSF的思考もできる傑作。

マルチ商法を題材にした小説。回想で主人公は学生時代にいじめられっ子を助ける描写があったが、実はこの行動は正義感から来ているものではなく、「見て見ぬふりをしてしまった」という失敗を繰り返したくないという姿勢の方が強いのだろう。そうなると、マルチ商法の倫理的な善し悪しは置いておいて、バッドエンドとも思えるラストは実は希望に溢れているのではないだろうか。

綾瀬はるかはどこまでも役者の人であると思う。大げさな感情表現だけが演技ではなく、そこに居るだけで他人の人生を生きることができる。ここに載っている写真は過去数年分の綾瀬はるかをまとめたものであるが、2009年の綾瀬はるかも、2011年の綾瀬はるかもそこに居るだけで別の人生を歩んでいるかのように感じる。点を線で結んだ、と言うよりそれぞれの時代の綾瀬はるかが放射状に伸びてパラレルワールドを生きているのではないだろうか。CMYKの色表現には留まらない美しさが刻まれている傑作。

90年代に発行されていたファッション誌「東京ストリートニュース」に所属していた読者モデルの20年後を追った本。こう書くと単にノスタルジックに走っているだけのムックと思われるかもしれないけど何気に凄い本。自分を表現する手段が少なかった90年代、読者モデルとして青春時代を送った後、大抵は普通に就職、起業、結婚して主婦になったりとだが、そんな人生が多いからこそ、思い出にはできずに今を縛り付ける過去の栄光となってしまい、芸能界に残り続ける人のエピソードが光る。「東京ストリートニュース」を知らなくとも有名人のその後の自意識を描いたノンフィクションとして秀逸。

最近の小松菜奈ブームには懐疑的だったんだけど、この表紙には白旗を揚げざるを得ない!Tシャツ特集も濃くて良かった。

表現の自由は保護されるべきであるが、通院するよりも早く出版ができてしまう環境もそれはそれで問題であると思う。

また続きます!

maezono

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過剰な自意識にもがく日本語曲DJ

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