第一回・東京レトロめぐり  ~定番編~

建築という物に関して専門的な知識は殆どありませんが、レトロ建築(”レトロ建築”といっても文明開化以後に建てられた洋風の近代建築なわけですが)には果てしない魅力を感じます。
それは欧米への憧れというのもあるかもしれませんが、日本という極東の島国に点在する洋風建築の“異物感”が好きだったりします。日本という雑多で混沌とした都会のビル群の中にとり残された、あるいはだだっ広い野原と古臭い和風の家が点在田舎に突然現れる洋館…正直、洋風の立派な建築なんて西欧諸国へいけば幾らでも見られるわけですが、日本という雑多で住宅とビルが乱立する都市にある西洋建築というのになんとも浪漫は感じるじゃありませんか。

日本は土地柄、地震や台風といった天災に多く見舞われる為こういった古い建物は耐震強度の問題であっさり壊れてしまったり、あるいは危険だったりで壊されてしまったり。あと都市開発の為に壊されたり妙な改築を施されたりしてしまうので、見られるうちに極力見ておきたいもの。

東京は大小どちらのレトロ建築も23区内だけでかなりの数あるので、フラリと巡ってみてはどうでしょう。てなわけで今回は東京のレトロ建築、の中でも定番っぽい、スタンダードなやつを紹介します。

①迎賓館(赤坂)


他国の国賓を迎えるための迎賓館は1909年(明治42年)に赤坂に建てられたネオ・バロック様式の華美な建物。大都会東京のど真ん中でここだけ切り離されたかの様な佇まいがなんとも荘厳です。

迎賓館は基本的に一般公開されていませんが、定められた期間であれば庭、及び館内の見学を行うことができます(館内の見学は大人ひとり¥1.000)。

そんな迎賓館の館内は残念ながら撮影禁止なので写真はありませんが、赤いカーペットと白い壁のコントラストが見事な廊下と、天井絵からシャンデリアから椅子から皿までとにかく贅沢を尽くした客間が見事でした。あと各国首相が来訪された時のサインとかも見られます。サッチャーとか。なかなか見られないですよ、サッチャーのサイン。

規模こそ遥かに違えど、フランスのヴェルサイユ宮殿のミニチュア版みたいな印象。個人的にはシャンデリアの美しさと日本洋画家の大御所小磯良平氏の2枚の超大作絵画は一見の価値ありではないかと。

②旧岩崎邸庭園(上野御徒町)


多くのレトロ建築が集まる上野の、少し外れたあたりにあるやたら大きな洋館が旧岩崎邸。1869(明治29)年に建てられたらしいこの館は、青い屋根とクリーム色の外壁が何とも可愛らしいイギリス式の建築です。

見学はとくに予約等も必要なく大人¥400と非常にリーズナブル。アクセスもいいし建物も綺麗でデカイし、レトロ建築巡りのスタートにもってこいでは無いだろうか。あと秋には夜ライトアップされたりもするらしい。

個人的に旧岩崎邸はやっぱ色合いが好きです。青くて丸い屋根とクリーム色の外壁のコントラストがなんとも可愛らしい。あと洋館のすぐ隣に和館もあって、この洋館・隣に和館!みたいな感じもいかにも日本的で楽しい(迎賓館なんかも洋館と一緒に和館がある)。

③旧前田侯爵邸洋館(駒場)

東大駒場キャンパスのすぐ近くにある前田侯爵という人のお住まい。またも旧〇〇邸。

ここはなんと入場無料!館内も撮影自由!更にカフェも入っていたりコンサートをしていたり裏にはピクニックもできる広いお庭もある!ということで、とにかくサービス精神旺盛。ありがとう前田さん。

立地の関係からなのか、庭では近所にお住まいであろうハイソサエティな方々がピクニックをしたりコンサートを観に来たりしていて、立ち寄った時には何かにおいて大敗した気分にもなりましたが、この建物自体は何とも綺麗に手入れされていて見学できる部屋も多くとても無料とは思えないところです。

オレンジの外壁やアーチ状の門で建物からせり出した正面玄関など、立派ながら”住まい”っぽさが残っているところが個人的にはお気に入りです。

④ニコライ堂(御茶ノ水)


御茶ノ水あたりをフラフラ歩いていると、パッと目に入ってくる丸い屋根が特徴の教会が東京復活大聖堂教会、通称ニコライ堂です。

100年以上前に建てられたかなり由緒ある教会らしいです。…が、詳しい建築的な凄さとか宗教的な意味合いとかはよく知りません。ただ旧岩崎邸にも似たターコイズ色の屋根とアイボリーの外壁の色合いが良いし、屋根や窓など随所に丸みのあるデザインがあって可愛らしい。何より他のレトロ建築は個人や要人の邸宅だったりするけどここは宗教施設の為ステンドグラス等に宗教的意味合いが見られるところが良い。

300円の入場料、というか寄付を行えばキリスト教徒かなど関係なく館内を見学することができます。

⑤東京駅


みんな大好き東京駅。ここはもう、東京というか日本の中心地のターミナル駅なので来たことある人も大勢いると思うんですけど、やっぱその素敵な外観が大好きだったりします。

とはいえ昔の名残を残した現在の東京駅丸の内側は改修を行って東京大空襲で破壊される前の姿を再現したものなので決してオリジナルというわけでもない(というか現像するレトロ建築の大半は保全のかなりの改修を行っているらしい)のですが、日本最高峰のビジネス街である丸の内に真ん中に佇むレトロな東京駅はかなりの存在感です。素敵。

とはいえ、実は破壊される前の東京駅ドーム天井部分には黒田清輝画伯の天井画が描かれていたりしたらしいですが、戦争で破壊されて今では記録として残っているだけです。そういう事実を知ると、つくづく戦争やら震災で壊された貴重な建築を本当の姿です見てみたかったなと思ったり。
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日本では何かと寺とか庭とかとかが”古き良き日本のもの”みたいな感じで取り上げられるので、いやいや、西洋建築にもこれだけ色々面白いものがありますよと私は言いたい。

あとやっぱり壊れたり壊されたりする前に行って欲しいですね。じゃなきゃ丸の内にあるような外側だけ残して高層ビルをぶっ刺したみたいな、最悪の改装を施される前に。

というわけでまた次回。

K.すみす

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白とチーズとペンギンと音楽と野球
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