『家、ついて行ってイイですか?』 ~ 終電に乗れなかった人たちのリアルを知る番組


電車で隣に座った美人な人とか、飲み会帰りの赤ら顔のサラリーマンとか、渋谷にいるパリピ風のギャルとか、昼から居酒屋にいるおじいさんとか…そんな自分の人生に一切すれ違う事のないであろう人々に「この人どんな人生を生きてるんだろう?」と思うことありませんか。この派手で元気そうな女の人にも、凄い悩みがあったりするのか?この冴えないオタクみたいな人が、実はめちゃくちゃ喧嘩で強かったりするのか?みたいな。

現在テレビ東京系列で放送中の『家、ついて行ってイイですか?』(毎週土曜日23:55〜)は、終電を逃した人にタクシー代を払う代わりに家までついて行って話を聞くという、ただそれだけの番組です(他にもヒトカラの代金を払うとか居酒屋の代金を払うとかある)。これがなかなかに興味深いというか、最近のテレビ番組としては個人的にかなり面白い。毎週欠かさず観てしまう。

例えば”有名人のトンデモ人生録!”みたいなものはテレビではよく特集されるし、芸能人や世で成功を収めた人の劇的な人生なんかは確かに波瀾万丈なんだけど“まあ芸能の世界で生きる人の人生なんて普通なワケねーわな”と心のどこかで思ってしうわけです、僕は。

 

で、この番組。終電を逃した人にタクシー代を払う代わりに家までついて行くだけ。出てくる人も基本的に素人。学生、サラリーマン、ギャル、おじいさん、芸人、無職、アイドル、フリーター、ラブホの料理人、脳外科医、ラブライバー…そんな終電を逃した通りすがりの人達の人生が、想像よりもずっと面白い。もちろんかなりの数取材して、その中からテレビ映えするエピソードだけ放送してるだろうから劇的なものも多いんですけど、思わず感心したり、感動したり、ぶっちゃけその辺のドラマやドキュメンタリーに劣らないエピソードを語る人たちが続々と出てくるのがこの番組の凄いところ。

六本木でハロウィンにはしゃぎまくってるギャルの家について行ってみれば過去に壮絶なDVを受けた事を話し出したり、西船橋ですき家の夜勤を終えた青年について行けば借金が原因で一家離散直前だったり、東京駅でダジャレ好きのおっさんについて行ったら妻と離婚してもう会えない子供達の為に”いつか会った時に”とお金を貯め続けていたり…とまあ、芸能人でもなんでもない、自分たちのすぐ隣に居るような通りすがりの人たちの部屋にお邪魔して意外な生活や人生を聞けるこの番組が最近大好きで仕方ないなんといっても今一番推しているテレビ番組なのです(なんでも放送関係の賞も取ってるとかなんとか)。


あとこの番組を是非今観てほしい理由としては、出演者がほぼ全員素人なのでソフト化が難しそう(出来ても時間がかりそう)というのもあります。まあ、同じテレ東で比較的に似た雰囲気の『モヤモヤさまぁ〜ず2』がソフト化してるので、この番組もいつかするかもしれませんが。…ちなみに今過去の放送分を観ようと思うとネットでごにょごにょするしかないので、一刻も早いソフト化が待たれる。がんばれテレ東。

最後に、個人的に今まで放送された中でのベスト・終電を逃した人を挙げてみたいと思います(※ネタバレ注意)。これで興味をもったあなたも是非次回から「終電を逃した知らない一般人」の人生を覗いてみてはどうでしょう。あとこの番組、一番良いシーンになると必ずThe Beatlesの「Let It Be」がかかる。この演出がなんか卑怯。

・僕が選ぶベストオブ終電逃した人・

①「あの子と遊ばないで…」25歳ラッパーの壮絶な過去(渋谷駅 2015/11/21放送)

僕は日本語ラップというものに別段詳しくないので、比較的最近とある他番組で知ったラッパーのACEくん実はこの番組に出てます。普通深夜の渋谷でこんな風貌の奴がラップやってたらめちゃくちゃ怖いと思うんだけど、話すとめちゃくちゃ気さくでユニークな彼。しかし家で話を聞くと、幼少期に差別を受けた経験そしてその時に支えてくれたのがアジカンの音楽だったなど意外な話がドンドンでてくる。期待の若手ラッパー、その暗い過去と気さくな今の素顔を一緒に観られる回なのでかなり好き

②「仕事終わりレコードに針を落とす…」44歳独身ロッカー、彼なりの幸福論 (新宿駅 2016/1/16)

パンクロックが大好きで、地元でバンドを組み、CDも出し、ロックバーまでやっていた44歳独身ロッカー。仕事を終えて自室でレコードに針を落としてからが自分だけの時間だそう。バンドもやった、車も乗った、バイクも乗って、たくさん遊んだ…そんな人生で最後に残ったものは「音楽が好きだ」という気持ち。それが自分にとって生涯財産になると語る姿がとにかくかっこよかった。俺は”何かを好き”という気持ちでこの人に勝てる日が来るのだろうか…想像もつかない…。
③「皆 家族に見放され…」クラブ帰りの22歳 看護師辞めた理由(渋谷駅 2016/2/17)

渋谷でクラブ帰りのパリピギャルって、そんなん脳みそ空っぽで人生楽しんでる奴ばっかだろっ…と思ってました。ええ。しかしこのクラブ帰りのギャル、もともと認知症病棟の看護師をやっていたが今は休職中。理由が「患者さんたちに親身になりすぎて、亡くなられる度に大泣きしてしまうのが辛かったかららしい。…正直俺なんかより遥かに仕事と人に正面から向き合ってる。意外だったし、それ以上になんか関心してしまった

④妻はマンガ家…初めて入る妻の部屋で涙(牛久駅 2016/2/17)

確か釣具屋さんの人。既婚者だそうだが、家に着いて行くと奥さんがいない。なんでも奥さんは現在大病を患って入院していて、本人は言わないがもう余命が長くない事に主人は薄々気付いているという。そんな中漫画家だったという奥さんの仕事場に初めて入ってみると、夫婦の思い出を綺麗にまとめたアルバムとか、遺影にしてほしい写真の候補とか、死を覚悟しているらしい奥さんの遺した物が出てくる出てくる。号泣。ここ最近で一番泣いた。ほんといい話。

⑤大学中退し…23歳レトロ好き美女 家賃4万3千円のアパートで見る夢(ヒトカラ 2016/2/6)

 

Twitterもザワついたサブカル美女回。インディレコード、部屋で1人缶ビール、枕元にコッペパン…次々と出てくる萌え要素にネットのナードボーイ達が完全に心奪われた回だった。この人、何かのメディアでもう一回取り上げてくれないかな…。




〜で、おわりに〜

この番組を観て思うのは「自分がもし取材されたら何を喋るかなー」ということ。正直何もない。悲しいくらい何もない。割と身近にはこの番組に出ても遜色なさそうな人生を送っている人もいるのに、自分は…。『家、ついて行ってイイですか?』に耐えうる人間になるというのが今年の、いやこの先数年の目標です。

追記:あとこの番組、4月からゴールデンタイムに移動するみたいです。

K.すみす

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白とチーズとペンギンと音楽と野球
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