虎じゃない、猫になれ! PS用恋愛ゲーム『猫なカ・ン・ケ・イ』


「猫になりたいですか?」
こんにちは、マイナーギャルゲー紹介記事の時間です。
今回は1998年に発売されたPS用ソフト、”超接近恋愛シミュレーション”『猫なカ・ン・ケ・イ』のご紹介です。

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このゲームはその名の通り、ひょんなことから猫に変身できる「猫目石」を期限付きで手に入れた主人公が猫になって女の子の家に遊びに行き、さらに学校でも女の子たちとコミュニケーションができるという、なんとも夢の様な設定の恋愛ゲームです。
同じくPS用恋愛ゲームで『ひざの上の同居人(パートナー)』という作品があります。こちらは人間に変身できる仔猫と生活する恋愛ゲームなのですが、『猫なカ・ン・ケ・イ』はそれとは逆に主人公が猫になるパターンです。『ひざの上の同居人』もなかなか良い作品なのでぜひ合わせてプレイしてみてはいかがでしょうか。

 

猫なポイント

「猫になって女の子と接する」

このシチュエーションがどういった意味を持っているのか。
まずは、人には見せない女の子の無防備な素顔に直に触れることができる、ということが挙げられるでしょう。学校では明るい笑顔を見せるあの娘はほんとうは……?憎まれ口を叩き合う幼なじみが急に元気がなくなった理由は……?不良で通っているミステリアスな女の子が猫に見せる素顔とは……?
そういった情報は、ふだんの恋愛ゲームで言えば例えば独白シーンの挿入によって補完されるでしょうし、もしくは周囲からの情報であったり、もっと言ってしまえばドラマCDだとかの他媒体に頼る形になるかもしれません。もちろんそういったヒロインたちの感情は本来わからないものであり、それを行間から感じ取ることがワビサビだと主張するプレイヤーもいるかもしれません。
しかしこの『猫なカ・ン・ケ・イ』においてはゲームシステムという枠において、その素顔を大いに覗き見ることが可能になっているわけです!

20160216-02いつもはサバサバ系の幼なじみが

20160216-03猫の前ではベッドで恋に悩む乙女に

恋愛ゲームである以上、ゲーム中、プレイヤーは学校において攻略対象のヒロインに対して様々なアプローチを取ります。そのコミュニケーションで、もしくはシナリオ上用意された困難でヒロインたちの心は揺れ動きます。
つまり、この状態とは「思春期の乙女の悩み」!その「悩み」を、猫となった主人公に「話しかける」という形で吐き出すわけです。これは言うなれば「アニマルセラピー」じゃあないでしょうか。
『女性に相談を受けたら話を聞くことに注力せよ』とは昔から唱えられている教えです。実際のカウンセリングでも相手の現状を説明してもらう過程で、今まで向き合えていなかった自分自身を認識することができるという手段は基本となっています。猫になって、人間の言葉もわかる!心も開いてくれる!慰めるという体でペロペロ舐めることも可能!これはもう、立派なカウンセリングと言っても過言ではないでしょう。

20160216-04あなたはただそこにいるだけで良い

さらにもうひとつ、猫になることは思わぬ恩恵をもたらしてくれます。
先ほどご覧になった猫状態の画面表示を見返してみてください。

そう、子猫なので目線が低いんですね。女の子はこれに対し、自然とプレイヤーを下に見下ろすという構図になるわけです。この状態においては完全に女性上位な関係性が生まれます。プレイヤーは”保護される”立場で、存在を全肯定される感覚を味わえます。まさに「愛玩」されるのです。
過去、SF要素が入ったラブコメなどにおいては主人公が動物や赤子に変身する、といったシチュエーションはいくつも登場しました。しかしそれはほとんどがラッキースケベを得るためのギミックでした。主人公が巻き起こすそれを視聴者は信頼と期待を込めて見守るのみです。

20160216-05期待はときに裏切られる

その点、今作においては目線が常に猫から。さらにプレイステーションの倫理チェックの結果お色気シーンはオミットされています。わたしはこのゲームを見つけたときにパッケージ裏のいっしょにお風呂に入っている一枚絵を見て(なるほどね……!)と感銘を受けて購入したのですが、なんとそのイベント画はゲーム中には一切登場しません!あろうことかお風呂に入るというシチュエーションすら肩すかしを食らわされるのみにとどまっています!!!!なんだったんだあのパッケ裏の一枚絵は!
……いやそれは良いんです。つまり言いたいのは、ラッキースケベ要素が排除されたことによって、純粋にヒロインたちの無垢な愛情を楽しむことができる、というわけです。

猫になってその愛らしさで承認欲求を無限に満たせ!自意識こじらせて虎になってる場合じゃない!

20160216-06期待をするから裏切られる、信頼しよう

 

猫なヒロイン

主人公の設定がすこしふしぎライクな『猫なカ・ン・ケ・イ』、一方で登場するヒロインたちは地に足の着いたひとりの女子高生として描かれます。

「普通の」女の子な幼なじみ(CV.桑島法子)、カタコト言葉の元気ハーフ娘(CV.大谷育江)、学園のアイドル清楚美少女(CV.池澤春菜)、男勝りな空手少女(CV.三石琴乃)、世間知らずのおっとりお嬢様(CV.氷上恭子)、魔術オタクのふしぎキャラ(CV.川田妙子)、アウトローな雰囲気のミステリアス転校生(CV.高山みなみ)と、ザッと並べただけで声優がめちゃくちゃ豪華なことはお分かりいただけるでしょう。
これらのヒロインを取り巻くストーリーはぶっ飛んだ設定はなく、等身大のちょっとした悩みを抱えた少女たちに主人公がアプローチをしていくことによる起こる関係の変化を描いた、小粒ながらも芯の通ったものになっています。

個人的には大谷育江さんのカタコト演技がめちゃくちゃ良かったのでハーフのジーナ桂城がお気に入りです。
メインヒロインの坂本ちはるも憎まれ口を叩き合う系幼なじみキャラらしさを存分に引き出した強度の高いシナリオだったと思います。
ストーリーは美少女キャラの来生めぐみと、魔術オタクの香坂まこがよかったなぁという感想です。

20160216-07最高

20160216-08かわいい

20160216-09良い娘です

そしてお嬢様キャラ愛好家として見逃せないのは御所川原明日香です。このお嬢様キャラは

  • 実家がコワい稼業
  • おっとり
  • 髪がピンク

以上の点において、ときメモの古式ゆかりさんが想起されるキャラメイキングになっており、1998年における恋愛シミュレーションゲームの文脈においてもやはりときメモ強しという流れを窺い知れるキャラクターではないでしょうか。
とは書きましたが、しっかりとしたおっとり系お嬢様口調や、「主人公とは別に勝手に用意される許婚」というお嬢様キャラ定番の終盤イベントも踏まえたシナリオが構築されており、定石が固まってきた後発ならではの手堅いキャラデザインだといえるでしょう!

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20160216-11原因があり、結果がある

キャラクターデザインは「川崎由美子」とクレジットされており、いろいろ調べると発売元のビクターインタラクティブソフトウエアが同じく販売していた『かえるの絵本』にも絵本デザインでクレジットされていたので、内部のかたではないかと思われます。
残念ながらインターネット情報だけでは他の作品における女性キャラデザインがあるのかどうか調べきれませんでしたが、『猫なカ・ン・ケ・イ』においてはぶっ飛びすぎず、かつ印象に残るデザインで今のオタクにもウケるんじゃないかと思います。すばらしい仕事です。
立ち絵グラフィックもまばたき・口パクアニメが完備されており高得点です。

 

猫なシステム

ヒロインの好感度を上げるには、学校や放課後に選択する行き先で、狙ったキャラクターを引き当てないといけません。常識的に想像できる範囲内で選択し、かつ相当に運が悪くなければまずハッピーエンドに到達できるでしょう。複数攻略からセーブデータ分岐でED選別はまず不可能です。
「運」と書きましたが、同じ日程で同じ行動をしても、選択した先にキャラクターが現れるかどうかは確定ではありません。期間内で設定されたイベント発生ポイントを選択し、そこから出現する確率を引き当てないといけません。攻略本なしでは、まず「発生ポイントを探し」→「確率を引く」という流れが必要なので、用意されたテキストを網羅するにはちょっと大変かなぁと思われます。

デートに関しては、ゲーム中の期間が少ないため回数がある程度限られることと、「ゲームを通して同じ場所に行くと好感度が下がる」「好感度によって展開が変わるデートスポットがある」という演出によって、恋愛シミュレーションの宿命ともいえる日常パートの単調さを補う工夫が見られました。
データ無しでは貴重な好感度の高いデートテキストを見るのもトライ・アンド・エラーが必要かと思われます。

20160216-12そうなんです

幸いにも攻略本が中古で出回っていたので、わたしは三人目くらいから参照して臨んでいます。ネット上には攻略サイトなどというものは存在していない(もちろんWikipediaにも項目がない!)ので、遊びつくすのであればまず必須のアイテムでしょう。そういう人が他にいるのかどうかはわかりませんが!

90年代恋愛ゲームらしく、テキストスキップもバックログもアルバム機能もメッセージウィンドウ消しも存在していないユーザーインターフェースです。ですが慣れとはこわいもので、わたしはこの時期に発売されたゲームをすでにいくつかプレイしているので、挙げたうちのひとつでも装備されていると(次世代ゲームだ…!)と感動できるようになっています。特に既読スキップを導入したゲームはそれだけで100点です。

 

猫なアトガキ

猫モードがおもしろい、声優が良い、ヒロインが魅力的、という三点が今作の楽しさを支えています。
それとは別に、日常パートでもギャルゲー特有の変にクドいテキストもなく、テンポの良い軽妙な会話も楽しめます。これも好印象な点ですね。会話パートが極めて短いブロックで分けられているシミュレーションゲームならではの利点でしょうか。

『猫なカ・ン・ケ・イ』はドラマCDも三枚発売されており、どうも信頼性は低い情報ですが、脚本を岡田麿里さんが手がけているとかいないとか……?たしかにアニメ脚本デビュー(とされている)のDTエイトロンが1998年だからギリギリ不可能ではないが……。こちらも気になりすぎるのでドラマCD入手も視野です。

というわけで、猫になれる恋愛シミュレーション『猫なカ・ン・ケ・イ』でした。
総評としては「小粒だがしっかりとした味付けが楽しめる良作!」ではないでしょうか。

それでは、また次回のPS用恋愛ゲームレビューをお楽しみに。
よければ他の恋愛ゲームレビューもどうぞ。

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主にアニメとゲームとオカルト関連の記事を書きます。
チャームポイントはとびきりのSmileです。よろしくお願いします。
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