無軌道の行き着く先 – 「花井沢町公民館便り」「WHITE NOTE PAD」


みんな! 「花井沢町公民館便り」の2巻が明日! 1月22日に発売されるぞ! そういうわけで、本日は去年トップクラス級のコミック 「花井沢町公民館便り」の魅力をもう一度確認すると共に同じヤマシタトモコ氏の著作である「WHITE NOTE PAD」について書きます。

amazonの商品ページからあらすじを拝借……

2055年。わたしたちの町・花井沢町は、あるシェルター技術の開発事故に巻き込まれ、外界から隔離されてしまいました。どこにも行けず、誰もやってこない。遠くない未来、いずれ滅びることが約束された町で、わたしたちは今日も普通に生きています。『BUTTER!!!』『HER』『ドントクライ、ガール』など多彩な作風で知られるヤマシタトモコの最新作!

ある条件下のもとに閉じ込められた人々が題材のエンタメ、は数多くあり、その多くは人間の本質であったり、その国の国民性を反映していたり、誰かが狂ったりしてモンスターよりも人間が一番怖い! 猜疑心は恐ろしい! となりますが、この「花井沢町公民館便り」が描いているものは残された人たちの日常です。外界から隔離されたシェルターでも通れないものは有機物だけであり、無機物は通れるので配給を受けることができたり、電話回線やインターネットも使えるので在宅勤務もできる世界。そこでは全ての人が今の環境でどうにか生きていくしかないと、「無軌道」に生きています。閉じ込められた学生はインターネットを通じて勉強しているけどその勉強も出られなければ何の役に立つ?そもそも、このシェルター技術の開発事故に対する政府の対応も行き当たりばったり的な物でまた「無軌道」であることが序盤のアイドルの慰問コンサートのシーンで示されます。外/中を区別することなく、皆が無軌道であることの虚しさをディストピアとして描かれています。この無軌道さについては同じく去年発売の「WHITE NOTE PAD」でも描かれています。

「私」の人生は奪われた―― 1年前、体と人格が入れ替わった男女。小田薪葉菜(おだまきはな、女子高生・17)と木根正吾(きねしょうご、自動車工・38)は、ある日突然、体と人格が入れ替わってしまった。別人の体のままで1年が過ぎ、偶然2人は再会する。少女の体になった男は容姿を磨き美しい読者モデルに、中年男の体になった少女は記憶喪失扱いで定職を失っていた。再会した“自分”はあまりにも違う“自分”になっていて――。 女子高生(17)と中年男(38)。女と男、人格逆転ドラマ。

女子高生の肉体を手に入れた中年男性は考えます。「これって『強くてニューゲーム』じゃん」と。もう自分は失敗はしないと言い聞かせ、読者モデルにまで上り詰めます。しかし! というかここがヤマシタトモコ氏の凄い所なのですが、この漫画は単に男女が入れ替わった状態が続くのではなく、心の方が肉体に戻ろうとする動きが働きます。つまり、慎重に人生をやり直しているつもりの中年男性は女子高生の身体性に引きずられて無意識に勢いのまま進んでしまう、つまり「無軌道」な道を歩んでしまう!! この虚しさ!! と言うわけで明日発売される「花井沢町公民館便り」の最新刊は減りつつある人口をどう描くのか!? 猛烈に楽しみです!!!

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過剰な自意識にもがく日本語曲DJ

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