2015年面白かったコミック

maezonoです。今年はkindleを本格的に使い始めたので例年以上に漫画を読んだ感覚があります。そういうわけで今年読んだ漫画で面白かった作品を5点。並べた順番には特に意味はありません。

岡村靖幸という歌手がいます。過去4度ほど覚せい剤で捕まっておりますが、人気は衰えることなく最近はアルバムの発売を発表しました。きっと恐ろしいくらいの名盤になるでしょう。なぜ人気が衰えないのか、様々な理由があるでしょうが、その一つにその「弱さ」も魅力となっているから、と思っております。そこで今回の福満しげゆき氏の新作。中学生男子の前に一人の女性が現れますが、その女性は中学生男子が脳内で作り上げた女性、つまり映画「ファイト・クラブ」と同じ構造なんですね。と言うか、作品中でも「ファイトクラブ・システム」と皆がツッコミを入れそうな所を先回りして公言してしまう。これは性格が悪い。が、しかし。その性格の悪さから来る自意識の過剰さがこの作品の面白さの原動力になっているとも見ることができます。

もともと「イノサン」という名で続いていた作品だったのですが、掲載雑誌が変わったことによりタイトルも巻数も一新。フランス革命以前の死刑執行人であったシャルル=アンリ・サンソンが主人公で、「イノサン」の序盤までは結構「シグルイ」的と言うか、主人公が死刑執行人という立場でウジウジ悩む中でもエグい処刑描写が延々続いていたりしたんですが、中盤でシャルルが童貞を捨ててから(ここのベッドシーンもスゴイ長かったんですが)物語の雰囲気が一変し、百合、BL、ミュージカル(?)までも取り入れてその訳の分からなさと圧倒的な画力の両輪でグルーヴしていく新しい作品となっております。一新されてからは物語の主軸がシャルルの妹であるマリー=ジョセフ・サンソンに移動し、シャルルはこの後ギロチンを発明して時代はフランス革命へ……という感じでこれからもグングン面白くなるかと。

過去のレビュー記事を参照してください。

先日、MOGAKUに「ガッチャマンクラウズ インサイト」の感想を書いたのですが、あの作品で不足していた「空気」がこの作品には絶妙に描かれています。人の自我がゆっくりと消えて行き、一つに収束する。この作品に横たわる言いようのない「不安」がこの物語の本質でもあり、今の社会を切り取っている面もあります。

もうこれは説明不要な感じがしますね。オススメです! 個人的に凄いと思うのは、例えば「ミミックで食べられるんじゃない?」と疑問を投げかける。その疑問を面白いと思うにはまず「ミミック」がどういうモンスターかを知らないと面白がれないはずなんですよ。だから90’sに出版されていた「4コママンガ劇場」やアンソロジー的にある種の日本のRPGに対するリテラシーが必要なはずなのにこのマンガには必要がない。必要なことは全てディティールを突き詰めることによって書いてしまっているから。だからこそここまで大ヒットしているのだろうし、久井諒子氏の短編から延々と続く作品の魅力がそこにあるのでしょう。

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過剰な自意識にもがく日本語曲DJ

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