金無し、家無し、若さ、有り。『風の中のあいつ』(萩原健一 主演)

前回は老人時代劇について書きましたが、今回は青春時代劇の紹介です。

 

有名な悪役や好敵手っていますよね。
バットマンにおけるジョーカーだとか、マリオにおけるクッパだとか、幾度となく描かれる宮本武蔵と佐々木小次郎の戦いだとか。

 

今回は清水の次郎長のライバル、黒駒の勝蔵を主人公にした時代劇『風の中のあいつ』の紹介です。

ちょっとOPを見てみましょうか。
OP曲はジュリー(沢田研二)によるものですが、OP曲に名前すらついていない、発売もされていないレアグルーヴです。


現代の街を映すと、時代劇であってもどこか身近に感じられて良いと思います。


 

そもそも、清水の次郎長がよくわからん。って人も多いと思います。
清水の次郎長は幕末にいた実在の人物です。平たく言うと東海道一のヤクザの大親分として、子分とともに大変な人気を得たヒーローです。

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現代になってもなお、パチンコになるくらい人気の次郎長

創作物における次郎長のキャラクターはヤクザでありながら善玉です。
義侠心があり、清廉潔白であり、カリスマがあり、絶対的な勝者であります。

 

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今作のダーティ次郎長

で、『風の中のあいつ』の次郎長はこんな感じです。

今までの次郎長の要素をそのまま、口がうまく人心掌握術に長けた人物として描かれます。
どうやったら人の心を掴めるかを熟知していて、すべて損得勘定で動いているような、そんなやつです(作中でもよくソロバンをはじいている)。

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物憂げな表情がセクシーな勝蔵

対する黒駒の勝蔵は根はいいのに、粗暴なふるまいのせいで世間からあまり人気がありません。
時の運に恵まれなかったり、次郎長ほどの圧倒的な兵力と資金を持っていなかったばかりに負け続けます。
次郎長の陰湿な謀略によって幾度となく死にかけています。口癖は「やりきれねえな……」です。

恋女房がいて身なりがきれいで大勢の子分に囲まれて一家を構えている次郎長に対して、勝蔵はほぼ宿無し。
少ない子分たちと山賊のような生活を送ります。もちろん、勝蔵は奥手すぎて女もいません。
ないない尽くしの勝蔵ですが、次郎長よりも勝っているのは若さとハングリー精神です。

勝蔵がのし上がり、次郎長を東海道一の座から引きずり下ろそうとするのが今作のお話です。
また、どうにもうまくいかない勝蔵の半生を描いた青春時代劇でもあります。


この作品が放送されたのは1973年。社会現象を起こしたほどの人気作『木枯らし紋次郎』の一年後です。リアルで泥臭い衣装と立ち廻り、ヤクザ剣法の生々しさは少なからず紋次郎の影響があったと思われます。

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手持ちカメラと役者の演技が合わさり、異様な迫力が出ている殺陣シーン

 

主演の萩原健一(ショーケン)は当時大人気。『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事役をつとめた直後です。

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『風の中のあいつ』OPより

このショーケンがとにかくかっこいい。そりゃ人気になるわけだ、と納得です。
反骨のアウトローヒーローは、この物憂げな雰囲気のショーケンでしか演じられないでしょう。

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勝ちたいのに勝てない。うまくいかない。やりきれない気持ちになる。勝てないまま物語は終わってしまう。「このままじゃ終われない!」の一念のみでしぶとく生き残る。

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簀巻きにされても死なないしあきらめない

『風の中のあいつ』はタイトルが良いと思います。なにせ「あいつ」です。
どこか勝蔵を身近に感じるような、そんな作品の魅力をそのまま表現しているようです。

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火曜担当・サクセス本田

サクセス本田とフィーバー吉崎

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・火曜日担当
時代劇が大好きな無職のサクセス本田。
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