プロ野球の応援歌に想いを寄せて

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プロ野球の応援歌というものに真面目に耳を傾けている人が果たしてどれ程居るのでしょうか。

少なくともプロ野球に全く関心が無い人には全くピンとこない人も多いのではないでしょうか。もちろん球場の外野席などの熱心なファンなどは選手を応援する上で必要不可欠なので「贔屓球団の選手なら大抵の応援歌は歌える」という人も多そうですが、プロ野球が好きな人でも「応援歌」を”意識して”聞いているファンはそこまで多く無い気もします。

野球の応援歌というと高校野球の甲子園などでは上手なブラスバンドにより定番曲が多く演奏されるので(高校野球という行事のある種国民行事性もあわせて)曲を聴けば「あー聴いたことある」となる人も多そうです。

一方プロ野球の応援歌というのは応援団によって作られ、球団によっては殆どの野手、あるいは投手ようにそれぞれ別個に応援歌が存在し、更には得点圏にランナーがいる時にのみ流れる“チャンステーマ”、得点時に流れる“得点テーマ”など多岐に渡り、過去のものも合わせてこれまで無数に作られてきました。

またプロ野球の応援歌は時代とともに、また球団ごとに多彩な変化を遂げ、特有のコールが生まれたり男女それぞれのパートがあったり跳んだりスクワットしたり傘を振ったり…と、単に選手の応援に留まらない、いわばファン自身も応援を楽しめるものになっているのです。しかも選手の応援歌ともなれば一曲はわずか10秒ほどしかありません(歌詞も殆どが4節)。そんなたった10秒の中で、選手それぞれの応援に個性を付けるべく様々な応援歌が生み出されているのです。

応援団によって試合を盛り上げ、選手を応援しようと作られた数々の応援歌。今回はそんなプロ野球応援歌の奥深い魅力について書きます。

〈選手名パターン〉

応援歌は選手の応援をするためにある訳ですから歌詞には選手名が入るのが定番です。とはいえシンプルにフルネームを歌い上げるものからあの手この手で選手名を歌詞にねじ込んできます。そんなバリエーションをいくつか挙げてみましょう。

①梶谷隆幸(横浜DeNAベイスターズ)

“新たな歴史に その名を刻め 梶谷隆幸 蒼い韋駄天”

わかりやすい選手名入りの応援歌の例。「青い韋駄天」という部分にチームカラーと、梶谷が俊足であるという選手的特徴も盛り込まれている、よくできた応援歌。メロディもポップで耳に残りやすく、近年の中でもかなり良くできた応援歌です。

②雄平(東京ヤクルトスワローズ)

“高き理想を目指して 熱き血潮を井(わかし)て 君よ雄々しく羽ばたけ 地平の彼方”

変則パターンその1。雄平の本名は「高井雄平」であり、そのすべての文字を順番に1文字づつ使った秀逸な歌詞。雄平の本名を思い出したい時に歌えば思い出せるという意味でも、日頃使えそうである。使わないか。ちなみに曲の元ネタは桃鉄。

③中田翔(北海道日本ハムファイターズ)

“勝負決める一振り 血と汗の勲章 その手で夢掴め さぁ翔はばたけ中田”

変則パターンその2。こちらも”翔ばたけ”の部分に名前が入っているという点では分かりやすい応援歌ですが、歌詞の始まりが「しょう」という音で始まっている事で「かっとばせー”中田!しょう”ぶ決める一振り〜」とコールから応援歌に戻る際に中田翔の名前が完成する仕組みになっています。果たしてそこまで考えられていたのかは定かではないが、気づくとおっ!てなります。

 

〈相手球団煽りパターン〉

相手チームの名前を歌詞に盛り込み煽っていくパターンの歌。煽られる事が多い球団は主にオレンジ色のあそこ。

①阪神タイガースヒッティングマーチ

敵チーム(というか讀賣巨人軍)を煽らせたら間違いなくナンバーワンの阪神応援団。この「くたばれ讀賣そーれいけいけ」に限らずあらゆる曲で「讀賣たおせ!」と叫んでいます。さてこの野球ファンにはおなじみ「くたばれ讀賣」コール、今では"口汚ない・下品"等の理由で否定的な意見や阪神ファンの間でも止めようとの声が上がっているようです。まあ分からなくはないですが、この讀賣をいつ何時もライバルとし、容赦なく煽っていくスタイルこそ脈々と続いてきた猛虎魂の気がするので個人的には嫌いではないのです。ただこの辺が野球が昭和の泥臭いスポーツ感が未だにある所以の気がしますね…良くも悪くも。

②錨を上げて(東京ヤクルトスワローズ)

“○○(相手チーム)倒せ ぶっとばせ 勝つぞヤクルト オイ! オイ! ○○(選手名)(ゴーゴースワローズ ×2 かっとばせ○○)”

他の10球団の時と違って明らかに讀賣相手の時だけ声が大きい。何か怨念めいたものを感じる。同じリーグ内で同じ東京に本拠地を置き、ほとんどのファンを持っていかれている恨みなのか。まあヤクルトに限らずジャイアンツ以外の11球団ファンからしてみればやはりジャイアンツというのは特別な相手なのです。その強さから他球団ファンはいつでも「打倒讀賣」が最上の目標なのです。よーみうりたおせー!!。

③西武には負けられない(千葉ロッテマリーンズ)

“西武には負けらない 魂をこめて 闘え”

千葉ロッテマリーンズの対西武ライオンズ限定応援歌。現在パリーグで2球団のみの関東チーム、しかも埼玉と千葉でベッドタウン同士という事もありライバル関係的なものがあるようです(実際年に何度かライバルシリーズという連戦が開催されています)。いつ頃から歌われているのかは謎ですが、04年ごろには既にあったようです。こういう相手球団限定の応援とかもっとあっても面白いかもですね。

 

〈相手球団煽りパターン(特殊)〉

特殊な煽りパターン。特殊というか、阪神ですね。

①蛍の光(阪神タイガース)

相手ピッチャーをノックアウトした時に全員で蛍の光を歌う阪神ファンはやはり流石です。容赦のない煽りなら恐らくのどの球団の追付いも許していません。

しかし実はこれでも優しくなったほうで、以前はご丁寧に歌詞まで激煽り用にした「にんげんていいな」を合唱しておりました。でも個人的にこれも面白いから好き。やられたらイラッとしそうですが。

②にんげんていいな(阪神タイガース)

今はもうやってないのだろうか…

 

〈振り付けパターン〉

ただ突っ立ったり座ったりしながらやるのが応援ではない。中には振り付けがあるものだって存在する。

①チャンステーマ2(タオルダンス)(オリックスバファローズ)

“勢いだ つなげ続け ヤマを張り 一か八か そこだ打て 手を出せ バット振ったら ボールは飛ぶ”

誰もが真似したくなるオリックスバファローズ(確かもともと近鉄時代)のチャンス応援。タオルを畳んだり開いたり振ったりという振り付けがあり、応援席のオリックスは当然覚えているどころか、イントロが鳴った瞬間にタオルを持ち出す慣れっぷり。バファローズの応援は独特な雰囲気でかっこいいものが多いですが、これは皆んな楽しく参加できる良チャンステーマ。

②チャンステーマ2(清原チャンテ)(埼玉西武ライオンズ)

“光り輝く 日はまた昇る 燃える男だ チャンスに強いぞ○○”

もともと西武ライオンズ在籍時代の清原の応援歌で、出来が良かったのか人気があったのか今でもチャンステーマとして残っているのがこれ。なんといっても特徴的なのは振り付けで「左へ走る→大きく手を回し右へ走る→両腕を前で開いて閉じる」という動作を曲に合わせて繰り返すというもの。とても楽しそう。神宮球場などでは広い通路を活かしてシャトルランまがいのダッシュが繰り広げられる。また選手がファールなどで粘ると何分間も行ったりきたりしなければならないので割と過酷っぽい。動きが似たものだと福岡ソフトバンクホークスの若井チャンテがある。

 

〈男女混声パターン〉

野球応援は決して男のものではりません。女性の方ももちろん参加しています。

①チキチキバンバン(北海道日本ハムファイターズ)

“かっ飛ばせ○○!かっ飛ばせ○○!
頑張れ僕らのファイターズ走れ速く!頑張れ僕らのファイターズ決めろ早く!
(男性)打って!打って!○○!(女性)打って!打って!○○! (全員)今だチャンスだ○○!”

元祖男女混声チャンステーマではないだろうか。軽快なリズムに合わせて男女交互に「打って!打って!◯◯!」と叫ぶのは面白い。女性が積極的に応援に参加できる素敵な配慮。

②チャンステーマ4(埼玉西武ライオンズ)

“男性パート(Aメロ) : 歓声浴びて いざゆけ 魅せろ(オイ!)熱い獅子の魂(オイ!)ラーララーラーラ 頼むぞ今だ ○○○○(選手名)

女性パート(Bメロ) : 歓声浴びて 今だ(オイ!) 青く染まるスタンド狙え(オイ!)ラーララーラララ 決めろ ○○○○(選手名)

混成パート(AB同時) : ラーララーラーラ ララララーラララ ラーララーラーラ・・・・・

ペット無しパート(サビ): オーオオーオオー オオオオオオオー ○○○○!!(選手名)
オーオオーオオー オオオオオオオー ○○○○!!(選手名)
オオオーオオーオオー オオオオーオオー

※) Aメロ内の「オイ!」は、女性が
Bメロ内の「オイ!」は、男性がかけ声をかける”

控え目に言っても歌詞が長い。コールというよりガッツリ”歌”って感じです。女性が歌うパートはどうしても声が小さくなるが、それでも必死で盛り上がる女性ファンが逞しい。とはいえ現在西武ライオンズで最も盛り上がる応援歌ではないでしょうか。個人的にも結構カッコいいと思います。

 

〈オタクが反応する系〉

あれ?この曲って…

野球の応援歌には思わぬ元ネタが存在していたりするのです。

何故かロッテには多い気がしない事もない。

①ロマサガチャンテ(千葉ロッテマリーンズ)

(原曲)

②キラメキラリ(千葉ロッテマリーンズ)

(原曲)

③森本稀哲(横浜DeNAベイスターズ)

(原曲)

2曲目 Theme

ここであげた以外にもソウルキャリバーやワンダーモモ、果てはマザーまであります。おたくの方は探してみては如何でしょう。

 

最後に個人的に好きな応援歌を幾つか…応援歌が気に入った選手や球団を応援してみる、というのも野球に触れる一つのきっかけになるかもしれませんね。皆さんもお気に入りの1曲を探してください。

…とか言っとく!

・荻野貴司(千葉ロッテマリーンズ)

これぞロッテというジャンプ応援。軽快さがたまらない。

・浅村栄斗(埼玉西武ライオンズ)

「叩き込め」ではじまり「叩き込め」で終わる切れのいい歌詞と「ゴーゴー」の昔っぽい感じが好み。

・長野久義(読売ジャイアンツ)

飛ばせ長野放て長野…のとこ

・新井貴浩(広島東洋カープ)

新井さんおかえり。あとカープファンのスクワット応援は楽しそう。

・チャンステーマ0(横浜DeNAベイスターズ)

かっこいい

K.すみす

K.すみす

白とチーズとペンギンと音楽と野球
K.すみす