旧エヴァフォーエヴァー!「ラブ&ポップ」

maezonoです。青春映画ばかり見ています。と言う訳で最近購入したDVDの感想を書きます。1998年の映画「ラブ&ポップ」。原作は村上龍、監督は「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明。

予告でも触れられていますが、劇中の日付が1997年7月19日、旧エヴァの「Air / まごころを、君に」の公開日です。他にもラジオDJ役で三石琴乃が出ていたり、シンジがアスカで○○するシーンを彷彿とさせる手の平のアップや延々と続く独白だったり旧エヴァと重なる点もいくつか見ることができます。個人的には主人公の友人役で出演している仲間由紀恵がコーネリアスの「FANTASMA」の広告をバックに待ち合わせしているシーンがもう、ザ・90年代を越えてド・90年代を感じてしまったりしたのですが……

映画の前半、主人公がアンネ・フランクのドキュメンタリーを見て悲しみに暮れるが翌日には忘れてしまう自分自身が嫌だった、と語ります。日常は全て流れてしまい、物事は変化していく。友達もダンサーを目指し高校を中退する人、彼氏と別れてしまう人、フェイクタトゥーを入れる人……と自分たちなりの「変わらないもの」を探し続け、主人公もその日常に抗うようにカメラを持ち歩いています。

そんな日常が丁寧に描かれている前半から、12万円で売られている指輪に惹かれるシーンから物語が転がり始めます。この指輪に惹かれてしまう感情も次の日には色褪せてしまうかもしれない、という焦りから援助交際でお金を集めようとする主人公。その中で出会う様々な中年男性との出来事の中でもやはり「変わらないもの」は見つけられず、持ち歩いているカメラでさえも「今」を繋げることはできない、と主人公は悟ります。

1997年に主人公が使っていたカメラはフィルムカメラでしたが、現代においてはスマートフォンやSNSによって容易に今を記録することができます。形で残る物よりもイベント等の体験を重視する今のカルチャーにおいて「変わらないもの」は見つからないということを無意識に自覚し、気付かないかのように思い出の記録を繰り返しているようにも感じます。

何がが欲しい、という思いをキープするのは、その何かが今の自分には無いという無力感をキープすることで、それはとても難しい。

後退していく「まごころを、君に」の予告とは真逆の、前に走って行く予告である「ラブ&ポップ」において、庵野監督が示す答えはスタッフロールに顕著に表れます。「あの素晴らしい愛をもう一度」が流れる中、渋谷川を延々と歩き続ける主人公とその友達。全ては変わり続けて行くのかもしれない、でも歩き続ける、汚いドブのような渋谷川でも水しぶきを上げながら、その行動こそに価値があると。歩き続ける「足」については主人公が援助交際で出会う男たちの中でも対比として現れます。座敷で胡坐をかく男性と足を投げ出している主人公たち、喫茶店で足を組む男性とまた足を投げ出している主人公たち、カラオケで常に同じ場所で古い曲を歌う男性と席をあちこち移動する主人公たち……庵野監督の描く90’sの日本は今見ると多少古臭く、旧エヴァのラストと同じ虚しさに包まれていますが、今でも通用する光を秘めているとも見ることができます。オススメです!

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過剰な自意識にもがく日本語曲DJ

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