続・ラッパー山本希望について〜MCのじょの挑戦状〜

※この記事の続きです。
ラッパー・山本希望について

・・・

昨日、山本希望さんのリリックツイートに対して「めっちゃちゃんとしてる!」という旨を解説した記事を書いてアップロードしたところ・・・

なんと山本希望さんご本人から反応のツイートを頂いてしまいました!まじで!??

どんだけ真摯なんだ・・・
これだけでも卒倒するほど嬉しかったのですが・・・

なんと!

驚くべきことに、彼女はこのタイミングでさらなるリリックを投下しています!

それも「また分析して♡」という部分を見るに、

これは・・・

これは・・・・・・

これ!!
完全に俺に対する挑戦状じゃねえか!!!

大変なことになってきました。
これ完全にバトルです。

こちらとしては仕掛けたつもりではないのですが、この挑戦的な感じ、相手を意識した攻撃的なリリック、間違いなくバトルです。

ちなみに投稿後数時間でこのやりとり。このスピード感。まさにHIPHOPのそれと言えます。

ただ、今回こちらはラップで返せよボーン!ボーン!と言われているわけではなく「分析してみろ!」とのことなので、あくまでブロガーとしてこの挑戦に受けたいと思います。そもそも僕はラップできないですけどね。

ご希望に沿うべくこのリリックもひとつひとつ見ていきましょう。
ちなみに彼女のツイートはもはや「ラップ」の「リリック」ですので、小節単位で扱っていくのは前回同様です。詳しくはこちらを参照ください。


□1小節目

このタイミング 再びライミング

そうまさにこのタイミングです。極端に言えば、この小節は2015年9月22日にのみ有効なラインです。
この歌詞はまさに今、あの記事を投下して、本人に目に届き、割とバズったことを背景に投下されています。
このような「世間の動きを反映」「リアルタイム感」も、まさしくリアルを重んじるHIPHOPならではのアプローチです。

「ライミング」というのは当然「韻を踏むこと」もしくは「韻を踏んだリリックを書くこと」の意味ですが、前の記事にも書いたリズムとしての要素だけでなく様々な意味があります。

この韻に対する考え方は時代によって変化を重ねており、韻をあまり踏まないのがクールだったり、「押韻主義」と呼ばれる考え方が主流だったり、様々な流行がありました。

その上で、現行メインストリームの流行りとしては「決して韻を軽視しせず、かつ無理矢理な言葉の羅列にはしない」というハイブリッドなスタイル(内容重視or韻重視、というような言い方をするのですが、その中間のいいとこ取り。体感としては少しだけ韻重視の風潮も感じます )に落ち着いており、このリリックにもその流れが落とし込まれています。


□2小節目

hip-hop精神 太めなサイジング

前の記事で「服について触れるのがトレンド」という話をしましたが、ここでまた『HIPHOP精神』に重ねる形で服装に関連したワードをドロップしています。
太めのサイジング、というのは要するにB系のダボダボな格好なことです。
いかにもヒップホップと思わせる格好ですが、現在は前述通り一般的感覚のおしゃれが求められる時代なので、それらの格好は「ヒップホップを感じさせる言葉」として比喩で使われることが増えてきました。

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こんなかんじ

隣り合わせに配置された「hip-hop精神」、それが太いということ。
彼女の中でヒップホップが大きな存在であることを、上記の服の例えで表現しているわけです。

普段山本希望さんもそのご職業柄、大変ガーリーで可愛らしい服装で露出されることが多いようですが、それでも、
私の中のヒップホップを愛する心はXXXLやぞ!ロカウェアかショーンジョンやぞ!
ということがわかりやすく描かれています。
大変熱いラインです。


□3小節目〜4小節目

上がったハードル
だから刃を磨ぐ

出ました。このリリック一番のパンチライン(リリックの中でも特に強烈な印象を与える箇所)です。

今回、恐れ多くも僕のリリック解説のせいで「ただのラップ被れではない」ということをバラされてしまった故に、これからのリアル具合に一層注目が集まってしまったことと思います。
その状況で、2の太刀を出すというのがいかに大変なことか。

世の中には「1stはマイク5本クラシック!でも2nd以降は・・・ 」みたいな言われ方をしているラッパーがごまんといます。
PROPS(評価)は、上がれば常に上がりっぱなしのものではなく、曲一曲、盤一枚、言動ひとつひとつをとっても、その影響でいくらでも増減する特性を持っています。過去レジェンドと言われていた人たちも「PROPSを使い果たした」みたいな言われ方をするくらいです。

しかし、そこにきてこの鋭いリリック、パンチラインの繰り出し方はまさに一度上がったプロップスをさらに押し上げるものではないでしょうか?

ラッパーにとって言葉は武器。刀です。
その、鋭く尖った言葉のギロチンのごとき「刃」を『磨ぐ』という表現。
しかもそれを、打破すべき対象の「ハードル」に対応させる形で配置している。
完全に武装したバトルライムです。

それでいて「刃(武器)があるから大丈夫」ではなく「刃を磨ぐ」という表現はこれからの一層の努力、『No Pain No Gain』の精神を如実に表しています。


□5小節目

ファンもそれ以上もさせる納得

声優ファンの方というのはやはり、どんなことでも(いきなりラップを始めても)喜んで受け入れてくれる、地元の小箱の身内イベのような暖かい存在です。
それでもそこから「上」を目指すには、それ以上の人たちを巻き込んで、勝ち取るしかない。
そのためにもっと多くの人を『納得』、『分からせ』なくてはならない・・・そのために動いていくぞ!という決意表明。
まっすぐ前をみたラインです。

また、現在のこの「既存ファン以外の日本語ラップリスナーが山本希望さんに好奇の目で注目している」というこの状況をむしろ好機と捉え真っ向から受けて立つというとても強い、ハングリーな気概が見て取れます。

また、ここで一旦全体に視点を戻すと、

このタイミング ←今この瞬間

だから刃を磨ぐ ←これから

させる納得 ←未来

といった形で、時系列的にも整合性が取れており、徐々に明るくなるイメージを内包しています。
こういったライムの中でのきちんとした道筋作りは、プロのラップでもそう見れるものではありません。


□6小節目〜7小節目

「楽しいことしかしたくないよ」
また分析して この詩の内容♡

熱すぎてちょっと怖い中盤がありましたが、最後、ピースに収まりました。
彼女の平和的な人柄が伺えます。

今回山本希望さんが引用したのは電波少女のワンダーホエールという曲の一節です。
これがトラック・ラップ・PVともに素晴らしく、ポップさとハードさを兼ね備えた大名曲です。
現在徐々にスターダムに登り詰めている電波少女が世に出るきっかけともなった一曲でしょう。
すこし時期は過ぎてしまいましたが、まだまだ暑い日もあるこの季節にピッタリな曲です。

この引用は、もちろんただのパクリではなく、尊敬を込めたサンプリング。
HIPHOPの最も重要な要素とも言えるサンプリングの中でも「ワードサンプリング」と呼ばれる手法です。
自分が好きなアーティストや仲間の言葉を、敬意を持って自分も使うのです。

電波少女のMC・ハシシ氏は特徴的なフロー(歌い方、ラップの仕方)を駆使するMCで、このフレーズでも少し特殊な譜割とフローで歌われています。

「楽しいことしかしたくないよ」

の部分は

「たのしー ことしー か、しーたくないよー」

という、聞いたままだとこんな譜割で歌われています。(上のPVで2分23秒付近です)

そこに対応させている山本希望さん最後の小説の一節「この詩の内容」ですが、
一見では

「ないよ」「内容」

での押韻のようにしか見えないのですが、

電波少女のワンダーホエールをよく聞いている人には、

「ことしー」「この詩」

も絶妙に韻を踏んでいるということがわかります!
つまり、この一連のリリックは、字面の文面だけではなく、山本希望 a.k.a. MCのじょが、『どのようにラップするのか』、『フローをどうやって当てはめのるか』があらかじめ考えられているリリックであり、
もっと言えば、
『ちゃんと歌いながら書かれている!』という事実が浮き彫りになります。

そういえば「刃を磨ぐ」と「ハードル」の韻も、一定のフローが定まっていないと字面だけでは押韻にしては甘いラインです。彼女のリリックは全体的に音をフローで合わせることを前提として書かれています。それも今風のフローで。

あ、あと最後ね、

「また分析して この詩の内容♡」

に関しては、これは俺です。俺宛です。「♡」も含めて。すまんなみんな。
いや、真面目に書くと、こういう個人宛の感じもとてもヒップホップだと思います。
宛先を指定しつつ、なんとなく不特定多数に向けているようにも見える感じ、バトル感がよく出ています。


□総評

えー、以上のことから総評すると・・・

彼女のライミングは今回も内容・リズム両面で優れたものであり・・・

つまり・・・

やっぱりラッパーじゃん!
山本希望さんすでにラッパーですやん!

と、いうわけで、山本希望 2nd Verseについての分析は、だいたいこんなところです。
もっと良く観察すればまだ要素が出てきそうですが、とにかくこのスピード感を大事にしたくてそろそろ終わらせていただきます。


□終わりに

終わろうと思ったけど、最後にひとつだけ。
山本希望さん今回大変重要なことを果たしています。

良く考えてください。
フォロワー70000人超えの天下のプロ声優山本希望さんが、
公式twitterfフォロワー2桁の弱小ブログの無名ブロガーに対して、ツイート3件にわたる長文コメントをしてくれて、ほぼ名指しと言っていいアンサーまでくださいました。
それにより僕と数人で運営しているのこのブログはサーバーが落ちるほどに注目されてしまいました。
普通にしていたらそんなことはなかなか起きないことです。

これをヒップホップの世界ではフックアップと言います。
ビッグネーム(山本希望さん)が、僕やひいては日の当たらないジャンルである日本語ラップを、彼女の度量で引き上げてくれたのです。

そもそもですよ。僕というか、日本語ラップのリスナー界隈なんて、新規開拓とは言えそんなに熱心に営業をかけるべきところではないですよ。少なくとも山本希望さんの事務所の方はそう思ってると思います。
それでも、利益度外視で僕のブログに対して丁寧な返答をくれた。ヒップホップへの情熱を、同じ目線で見せてきてくれた。
これはまさに『HIPHOP』としか言いようがない事象ではないでしょうか?

彼女に今、声を大にしてこう言いたい!

山本希望、RESPECT!

構っていただきありがとうございました。
めっちゃファンになってしまいました。これからもご活躍期待しております。

とか言っとく!

※追記

なんと現在配信中の山本希望さんご出演のラジオ
「まよなかデリバリー」にて当記事を大々的に紹介いただきました!
ありがとうございます!
1週間はネット配信されているとのことなのでお早めにご確認ください!
http://anitama.com/mayonaka


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