中村主水に呪いがかかる! 『必殺仕置屋稼業』(’75) 再放送記念記事

CLQpK7vVAAAuEMf

うおおおおおおおおおおお!!!!!!! 秋だ! 時代劇だ! 必殺だ!

 

現在テレビ埼玉平日朝九時で再放送が行われている、必殺シリーズ第6作目『必殺仕置屋稼業』を紹介する。

テレビ埼玉、平日朝九時。『必殺仕置屋稼業』。

テレビ埼玉、平日朝九時。『必殺仕置屋稼業』。

テレビ埼玉、平日朝九時。『必殺仕置屋稼業』。

 

はい、覚えたね。
テレビ埼玉が映らない地域の人も、DVDをレンタルしたり、時代劇専門チャンネルに加入するなりしてぜひ、『必殺仕置屋稼業』を観てもらいたい。

 

 

じゃ、紹介行ってみよう!

 


 

・必殺仕置屋稼業 あらすじと登場人物

・あらすじ
舞台は江戸。殺し屋がお金をもらって人を殺す。以上。

・登場人物(仕置屋チーム)

vlcsnap-2015-09-01-18h29m51s151

中村主水(なかむらもんど)
ご存知、必殺の顔。同心(平たく言うと警察)。今作は南町奉行所に勤務。事実上の栄転。
ついでに、家も新築することになったので、いつにもまして金がない。
しばらく殺し屋はやめていたが、今作で復帰。チームのリーダー。

 

vlcsnap-2015-09-08-18h24m24s51

市松(いちまつ)
普段は竹細工を作っているフリーの殺し屋。冷めた印象の殺人マシーンと言ったところか。
主水チームとは別に行動することも多く、仲間意識はほとんどない。竹串を相手の首に刺して殺す。
クレジット上は今作の主役。

 

vlcsnap-2015-09-01-19h00m43s227

印玄(いんげん)
躁うつ病の怪力托鉢僧。普段は捨三とつるんで銭湯を覗いたりしている。
捨三に誘われたので殺し屋になった。相手を屋根の上に運んでから突き落とす変な殺し方にこだわる。

 

vlcsnap-2015-09-08-19h33m56s49 vlcsnap-2015-09-08-18h31m27s174

vlcsnap-2015-09-08-19h34m43s247

印玄に突き落される江戸の民

 

 

vlcsnap-2015-09-01-18h58m46s83

捨三
主水と昔組んでいたらしい情報屋。普段は銭湯に勤めて、釜に薪をくべている。
主水の下僕のようにこき使われる。印玄とは友達。

 

vlcsnap-2015-09-01-18h32m56s194

おこう
殺しの依頼を主水に持ってくる仲介業者。普段は髪結いをしている。
主水以外のメンバーとは最終回まで会うことはなかった。中村玉緒。

 


沖雅也演じる市松が美しい、という話。

vlcsnap-2015-09-08-17h44m49s86

話はそれるが、仕置屋は何と言っても市松(沖雅也)というキャラクターが一番の魅力だと思っている。

沖雅也という俳優が昔いて、早くに死んでしまった。
後世になっても見返されるような名作映画に出ていなかったからか、残念ながら現在は若い人たちの間での知名度はあまりない。

そのかわり、名作ドラマにたくさん出演している。『太陽にほえろ!』、『俺たちは天使だ!』、『大追跡』などなど。
必殺シリーズではこの仕置屋、『必殺仕置人』、『必殺からくり人 富嶽百景殺し旅』に出演。

 

 

vlcsnap-2015-09-01-19h52m26s17

仕置人で棺桶の錠を演じたときはこんな感じの表情づくり、演技、メイクと衣装だった。

 

vlcsnap-2015-09-08-19h35m32s236

仕置屋では一転、人形のような超絶イケメンになっていた。
飛んだり跳ねたりするわけではなく、ゆったりとした演技や物憂げな眼の演技は秀逸だ。

気品のある立ち振る舞いと、目の演技はこれ以上ないくらい素晴らしい。

vlcsnap-2015-09-08-19h35m24s160

ぜひ体感してもらいたい。

いやほんと、仕置屋を見たら俺の言ってること全部わかるから。マジでマジで。
いやほんと、男でも「美しい……」って見とれるくらいだからマジでマジで。

 

 

市松くらいのイケメンになると目の中に星が出現したりする。

vlcsnap-2015-09-08-18h36m45s18

 

 

あまりにもかっこいいので、京本政樹が必殺シリーズで組紐屋の竜を演じる時に市松(沖雅也)を参考にしたほどだ。

img_0_m

(大川橋蔵のメイクを継承したから大川橋蔵イズムも感じる)

20131110_634227

大川橋蔵

 

あまりにも美しいので何枚か市松を貼っておく。

vlcsnap-2015-09-01-18h56m38s65

vlcsnap-2015-09-08-18h27m33s142 vlcsnap-2015-09-08-18h38m09s109 vlcsnap-2015-09-08-18h50m33s114 vlcsnap-2015-09-08-19h50m28s225

 

?

 


 

・中村主水を必殺の顔に

vlcsnap-2015-09-08-17h46m07s113

閑話休題。

必殺シリーズも『必殺仕置屋稼業』(以下、仕置屋)で6作目になった。
スタッフもいろいろな方向から、視聴者にウケる要素を模索していたと思う。

殺しのプロフェッショナルのドラマ(仕掛人)。
強烈な無頼漢が悪党をリンチするピカレスクロマン(仕置人)。
仲間の死と別れ、組織の崩壊(助け人)。
ホームドラマ要素、苦悩するナイーブな殺し屋(仕留人)。
生き別れの親子のドラマ、バディもの、ギャンブルに没頭する刹那的な生き方(仕事屋稼業)。

一通りの要素を試したと言える。視聴者にウケた要素の取捨選択ができるようになってきた頃あいだ。


 

vlcsnap-2015-09-01-18h24m13s101

OPのサラリーマン姿が印象的な中村主水

 

勤務先では上司に、家に帰ると嫁と義母にいびられる、さえないサラリーマン、しかし裏の顔は凄腕の殺し屋。
スーパーマン⇔クラークケントや、スパイダーマン⇔ピーターパーカーなどのアメコミヒーローと同じく、ギャップがウケたのだろう。

シリーズ4作目、中村主水2回目のレギュラー登場となった『暗闇仕留人』においては、黒船来航後の幕末が舞台であり、義弟と義妹が死亡するという最悪の結末に終わった。
「殺し屋を続ける意味なんてあるの?」(意訳)という義弟の疑問に答えられなかった主水は、うすぼんやりとしたまなざしで、中村家伝来の鎧に身を包み、来るべき幕末戦乱に備える。そこで物語は幕を閉じる。

中村主水の物語は、これで終わりにするつもりだったのだろう。
必殺シリーズもここまで長く続くとはスタッフも思っていなかったのではないだろうか。

 

仕置人、仕留人の二作を経て「中村主水というキャラクターはウケる!」と確信したスタッフが、主水続投を決定したと思われる。
どこまで主水を前面に押し出せるか試した作品が仕置屋なのではないか。

 

主水を主軸にしたことが現れているのはまず、劇伴である。
シリーズで初めて、主水専用の殺しのテーマ曲が登場。曲名もそのまま「主水」。

 

中村家のホームドラマも進展していく。
主水の出世が初めて描かれ、それにともない家も改築していく。
そこでまたドラマも生まれる。

主水と関わりを持つキャラクターが一気に増えた。
vlcsnap-2015-09-01-19h33m35s225

主水をひたすらにいびる義母と嫁、せんとりつに加え、主水の部下として岡っ引きの亀吉(小松政夫)が現れた。
設定的に勤務中の主水と絡ませることが難しいせんとりつを考慮して、勤務中でも主水と絡めるように岡っ引きを登場させた。
家でも、外回り中でも絶えず主水にストレスを与えていく。

 

vlcsnap-2015-09-08-19h10m07s78

ついでに主水の行きつけの定食屋と看板娘も登場。
話の本筋と全く関係のないところで主水が定食屋に行ってほんわか和むという具合だ。

 

vlcsnap-2015-09-08-19h57m36s158

さらには、おこう(中村玉緒)との淡い恋愛要素もある。
茶目っ気のある演技の中村玉緒がとてもかわいい。

というか、はんなりとした京ことばで女がぐいぐい迫ってくるというシチュエーションが非常に良い。

あまりにもかわいいので何枚か玉緒を貼っておく。

vlcsnap-2015-09-01-18h31m16s240

 

vlcsnap-2015-09-08-18h49m01s213

 


 

「俺は忙しいんだ。早く成仏してくれ」 

殺し屋稼業と、家庭、そして役人としての立場で主水はがんじがらめになっていく。
シリーズで最も忙しく、しがらみが多い。

vlcsnap-2015-09-08-17h36m38s81

あまりの忙しさに、ヒゲを剃りながら殺しの現場に走っていく回があるほどだ。

家族サービスもしなければならない。役人としての立場も守らなくてはならない。
殺し屋業も成功させなければならない。

そのがんじがらめ感で作中のスリルは倍増していると言える。

そして作中でたびたび主水が口にするのが
「俺には表稼業があるんだ。俺がバレたらみんなおしまいだ。だから俺は動かない」(意訳)
である。
仕置屋の主水はひたすらに利己的で、自己保身に走っている。

しかし、この主水の忙しさと自己保身のポーズは、続いて放送される『必殺仕業人』のための布石だ。
ネタバレになるが、仕置屋の最終回で大どんでん返しがおこり、主水を取り巻く環境が一気に変わる。
『必殺仕業人』では、主水の考え方が変わっていくさまが目に見えてわかる。


「中村さん、生涯現役で殺し屋やってもらいます」という呪い

 

vlcsnap-2015-09-01-18h32m56s194

中村はん。いっぺんお仕置きをした人間は、一生その首枷から抜け出せんのと違いますか?

 

仕置屋1話のおこうのセリフだ。
殺し屋になったら死ぬまでその呪縛からは逃れられないぞ。
中村主水というキャラクターをずっと使い続けるぞ。
そんなスタッフの意気込みが、おこうの呪詛となって出た。中村主水を捉えて離さない。
実際に、藤田まことは死ぬまで中村主水と言うキャラクターを演じ続けることになってしまった。

主水の成長(と言うよりは変化か)が見られるようになったのは、この作品からと言ってもいいのではないだろうか。
今までの主水はパイロットフィルム版、仕置屋以降の主水はある意味決定版と言っても差し支えないだろう。
あるいは、ルパン三世の緑ジャケと赤ジャケみたいなものか。

主水物語の一発目として、仕置屋稼業の主水を目に焼き付けておいて損はないだろう。

 

火曜担当 サクセス本田

サクセス本田とフィーバー吉崎

サクセス本田とフィーバー吉崎

・火曜日担当
時代劇が大好きな無職のサクセス本田。
都内を徘徊する無職のフィーバー吉崎。
二人で一つ。
藤子不二雄のような共同アカウントです。
サクセス本田とフィーバー吉崎