映画レビュー『ナイトクローラー』~SNSで星やハートを集める若者たちにも通じるかもしれない映画~

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最近観た映画の話。ネタバレが気になる方はご注意を!(基本ネタバレとかはないですが)

最近地味に話題になってる映画『ナイトクローラー(NIghtcrawler)』を鑑賞してきました。まだ公開して間もない(僕が観た日で2日目)という事で席の埋まりはかなり良く、オンライン前売りは終日分完売といった感じでした。

あらすじはロサンゼルスでこそ泥をして盗んだ物を売り生活をしている不気味な男ルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)が、あるきっかけから事件や事故報道のスクープを専門にしている映像パパラッチ、通称〈ナイトクローラー〉となり、最高の素材を得るためにどんどんと行動をエスカレートさせていって…という話。

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まずこのあらすじから僕が思いついたのは「これってSNS世代にはかなり身近な内容じゃね??」ということ。TwitterやFacebookやInstagramで、いわゆる「ふぁぼ」「いいね」を稼ぐためなら過激なことをやったりするのは決して珍しいことではないようで、ニコ生なんかでは色々と問題視されてますよね。この映画のテーマはテレビの報道番組と大きな媒体ですが、SNSなんかも小規模ながら同じ問題を抱えていると思います。誰かに認められたいという承認欲求のために過激な行動をとるというのは、人間の本質なのでしょうか。思わずそんなことまで考えてしまいました。

さて、本題の鑑賞した感想ですがまず注目すべきは主人公ルーを演じたジェイク・ギレンホールの抜群の演技力です。このルーというキャラクター、てっきり最初は真人間で徐々にダークサイドへ堕ちていって…みたいな話かと思ったら、こいつ最初っから頭おかしい奴なんです。いや、頭がおかしいというよりも世間の道徳観と本人の道徳観がかなりずれているというか、多分ルー自身は映画が始まってから終わるまで常に正気です。ただその行動が我々平凡な人間にとって狂気的というだけであって。で、そんなルーの「平気な狂気」をジェイクは見事に演じている。とくに目の演技。ルーのどこか宙を見ているような、感情が死んでしまったかのような、でもとてつもない迫力を秘めている目の演技。これはかなりすごい。この演技は今年観たなかでもトップクラスでした。

そのほかだと脚本。これはなんとも絶妙というか、基本的には犯罪スリラー的な感じでハラハラする場面も多く、しかもそれがさっきも書いたようにメディアの裏側というどこか身近な話ということもあってハラハラさせられます。あとルーの道徳観を無視した行動の数々にもハラハラさせられます。で、さすがにネタバレすぎるので書けませんが終わらせ方が結構あっさりしていたというか「えっ、そういう終わり方でいいの?」と少なくとも僕は思いました。しかし思い返すとその終わらせ方こそこの作品の肝だったというか、現代社会に潜む闇がいかにして生まれるのかをある意味的確に描写していたのではないかと思います。ここは是非鑑賞して確認を。

総評として非常に上手い、よくできた映画であることは確かです。ただ想像していたよりも少し悪い意味で「秀作すぎた」というか、もっと意外性のある映画かと思っていたのでそこはやや肩透かしです。個人的には去年の『ゴーン・ガール』にもかなり近い感想を持ちました。とはいえお金を払って観て損はない映画だとは思うので、気になる方は上映回数の多い今のうちに是非。


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