映画『God Help The Girl』は果たして本当に”面白い”のか

先日、話題の映画『God Help The Girl』を観賞してきました。公開前から人気バンドBell & Sebastianのリーダー、スチュアート・マードックが監督・音楽を担当した作品という事もあって各所で話題となり、公開初日も全上映満席という好調なスタートをきった映画です。

で、レビューサイトなんかにはすでに「最高!」「観るべき映画」「今年ナンバーワン」などの書き込みが散見される。この盛り上がりに僕はいやちょっと待て!と水を刺したいというのが今回の趣旨です。みんなこの映画に果たしてどれほど正当な評価を下せているのか?本当にこの映画は面白いのか?という事を一旦落ち着いて考えてみよう的な記事です。一部ネタバレとかもあるかもなので、気になる方は鑑賞後に。

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まず音楽。なんと言ってもミュージカル映画なんだから音楽は絶対に欠かせない。で、この作品の音楽に関して流石というべきか、かなり良いと僕は感じた。というか、いつもベルセバで聴いてきたアレやソレと同じテンションの同じ曲がちゃんと作られてたという印象。ベルセバやネオアコが好きな人はもちろん、この手の音楽が苦手な人以外には心地よく聴こえるのではないだろうか。

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次に個人的に好感を持ったファッション。主人公イブのレトロな雰囲気なヨーロピアンスタイルの着こなしは確かに似合っていたし可愛かった。サブカル女子的な人には堪らないだろうな?といった感じ。で、もう一人の主人公といえるジェームズ君のブリティッシュスタイル丸出しなファッションが僕的になかなかツボだった。フレッドペリーの白ポロ+白のチルデンニット、5部丈ほどのネイビー無地Tシャツ+スリムなボトムス、黒のポロにボルドーのスイングトップ(恐らくバラクータ?)などなど、秋になったら真似しようと思うスマートで気の利いたファッションが多かったのがよかった。この映画にしてこのファッションあり、といった期待を裏切らないオシャレが堪能できました。

そして問題の脚本および演出についてですが、これらに関してはいち映画としては正直手放しで絶賛出来るものではないかなあ…といったのが正直なところです。ストーリーは心に病を抱えた女の子と男の子(と更に女の子)の出会いの話。始まりから終わりまで丁寧といえば丁寧ですがやや間延びしている感はあったし、これといって目新しい展開もない。イブのどこか憂いのある雰囲気と奔放な立ち振る舞いは女性が憧れるスタイルのかもしれませんが、男性からするとそれほど同調できないのではといった所もチラホラ…純な男の子をたぶらかしつつ実はバンドのボーカルやってるイケメンと自由恋愛的に寝てたりする感じは確かに欧米的かつ女性の理想的にも思えましたが、男の目線からすると「面倒くせえやつだな」と思ってしまったりしなかったり(あくまで創作映画だとわかっていますよ勿論)。で、ジェームズ君の関係もそれほどはっきりしないまま物語はエンディングを迎えていくわけです。

あとオシャレなんだけどなんか良くわかんないシーンが多いというか、ストーリーを展開させる為に必要なのだろうけどなんで、どうしてそうなったの?みたいなシーンが所々あった。個人的に主人公たちがバンドメンバーを探してビラを配って回るシーン。ビラをコピーして街中で配って回るが、何故かその結果街中の若者が彼らを追いかけ始め(ビートルズの「ハードデイズナイト」のオマージュ??)、あっという間にメンバーが集まるのだが、なぜいきなりそんなポップな展開に?主人公が心の病を抱えているという導入に比べ、画作りがあまりにポップになると少しついていけなくなったりもしました。そういう意味でもこの作品の脚本が他の作品と比べて特別良くできていたり、関心するようなポイントもないかなーと僕は思います。「ベルセバの音楽を映画にしたらこんな感じになる」っていうのを想像したら、それがほぼそのままスクリーンで観られたという意味では期待を上回ることも裏切られる事もなかったという印象です。

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あと演出ですが、ミュージカルシーンなど雰囲気にあった可愛らしい演出が多くこの作品にしてこの演出あり、といったものでした(演出を担当したのはウェス・アンダーソン監督の「グランドブダベストホテル」の演出も手掛けていたと聞いて納得)。が、個人的に”ザ・オシャレ!”みたいなカットが連発されすぎてあまりメリハリを感じなかったというか、映画で良く見るオシャレなシーンみたいなのが片っ端から詰め込まれていて、結局観終わったあとにどこが印象的かと聞かれるとすぐには浮かばないといった事になってしまいました。そのボヤけたカメラの回想シーンは、主人公の背景に入る回想カットは、果たして必要だったのか??と単純に疑問に残る箇所がいくつかありました。

とまあ色々と酷な評価を下して申し訳ない。もしかしたら僕の感性が乏しすぎるだけなのかと思ったりもしましたが、思ったものは思ったのだから仕方ない。音楽や雰囲気は確かによかったが、いち映画作品として評価した場合果たしてどうだろう、というのが率直なところです。「素敵!」「最高!」みたいな感想だけじゃなくて、もっと詳細な点まで評価した『God Help The Girl』のレビューを誰かお願いします。というわけでまた次回。


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