MTG:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》について

最近は安デッキレシピの作成にかまけて、1枚1枚のカードについて深く掘り下げていくということをあまりしていませんでした。今日はこのデカい口を開けて獲物を待つお魚さん《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》について、様々な視点から語ります。

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まず単体での性能から。

7マナ5/5。これだけ見るとザコです。マナコストに比べてパワー・タフネスや他の能力が貧弱すぎることをマナレシオが低いと表現することもあります。もちろんそんな弱いカードだったらこんな記事にしていません。彼は強いんです。テキスト1行目の「探査」という能力に彼の強さが秘められているんですね。しかし探査とは…?

>探査/Delveは、「この呪文の総コストにある不特定マナ1点につき、あなたはそのマナを支払うのではなく、あなたの墓地にあるカードを1枚追放してもよい。」を意味する。

MTGにおいて、使い捨てのカード(インスタントとソーサリー)は使い終わったら墓地に置かれます。手札から場に置かれるカード(総称してパーマネントと言います)も、何らかの効果で墓地に置かれることがあります。ゲームが進んでいくにつれ、だんだんと墓地にカードがたまっていくのが自然な流れです。そこで、通常は使われない墓地にあるカードを有効な資源として使えるのが「探査」という能力です。極端な話をすれば、グルマグのアンコウは墓地のカード6枚と黒1マナ(1マナ!!)で唱えられるのです。1マナ5/5、ヤバいですね。こりゃ強いね大将、グルマグのアンコウをひとつ握ってくれぃ。

MTGのカードは、常に周囲の環境にその強さを規定されます。非常に強力な効果を持ちながらも、相性の悪いカードが環境に多く存在すれば相対的なランクが下がり、もちろん逆も同じです。

現在グルマグのアンコウを使用できる公式フォーマットは多く存在しますが、彼の存在がある程度環境に影響を及ぼしているものはスタンダードモダンレガシーPauperの4つです。この順番に説明していきましょう。

スタンダードとアンコウ

現在のスタンダードは「基本セット2015」「テーロス・ブロック」「タルキール覇王譚ブロック」「マジック・オリジン」に存在する8セットに収録されているカードが使用可能です。その中でアンコウ君と採用枠を直接的に争うカードがこちら。ドン。

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《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》

タシグル・ザ・ゴールデンファング。プロレスラーみたいな名前ですね。イラストから「バナナマン」「バナナおじさん」と呼ばれたりすることもあります。ちなみにFoil(プレミアム・カード。ブースターパックに一定確率で封入されている、キラキラした加工がされている希少価値の高いもの)ではバナナがキラキラしていません。残念ですね。

タシグルはアンコウよりも1マナ少ない6マナ(つまり墓地5枚と黒1マナ)で唱えられ、サイズも4/5とほぼ遜色ないうえ、デッキからカードを墓地に送り込みつつそのうち1枚を手札に回収するという直接的なハンド・アドバンテージ獲得手段を持つ優秀なクリーチャーです。スタンダードではパワーの差よりもコストの軽さとアドバンテージ能力を買われてアンコウよりも優先的に採用されます。ただしタシグルは伝説のクリーチャーなので、採用枚数は2枚程度に抑えられることがほとんどです。それ以上は能動的に墓地を肥やすデッキにおいて、3枚目以降のタシグルとしてアンコウが採用されることがある程度です。まとめて言えば、スタンダードではあまりアンコウは活躍していません。残念。

モダン・レガシーとアンコウ

モダン・レガシーということでひとつにまとめましたが、これには理由があります。それがこのクリーチャーの存在。またドン。

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《タルモゴイフ/Tarmogoyf》

聞いたことがある人はあるんじゃないでしょうか、最強の2マナクリーチャーのひとつです。メチャ高いです(8/5現在最安ネット通販価格1枚21,400円、Wisdom Guild調べ)。モダン・レガシーで緑を含むビートダウンデッキに入らない理由がほぼないとまで言えるこのクリーチャー、テキストを読んでもらえればわかるように、墓地に置いてあるカードの種類でサイズが決まります。理論上の最大サイズは8/9ですが、インスタント・ソーサリー・クリーチャー・土地というどのデッキでも墓地に落ちやすいカード4種類が落ちた場合の一般的サイズは4/5です。

その一般的サイズの4/5タルモゴイフ、なんと5/5のアンコウ君であれば戦闘で一方的に倒すことが可能です。これはタシグルにはできない、非常に大きな強みです。このため、タシグルより優先して採用されることもあります。

と、言いたいところですが。直近の大規模なモダン大会(グランプリ・シンガポール2015)の上位8デッキでアンコウをタシグルより優先して採用したリストはありませんでした。GPシンガポールではアドバンテージ重視のジャンドカラー(黒赤緑)のデッキが多く見られ、タシグルも後半の消耗戦に非常に強い2番目の能力があるために優先されたという理由がありそうです。《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》《闇の腹心/Dark Confidant》《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》等のパワーカードを満載した非常にパワフルなジャンドデッキは個人的にも好みなのですが、1枚1枚が非常に高額なため、札束デッキと揶揄されることもあります…まあ強いんで。ともかく、モダン・レガシーでも実はタシグルの方が活躍してます。なんてこった。

Pauperとアンコウ

実を言うと、ここまでの話は前置きにすぎませんグルマグのアンコウ君が真に輝くフォーマット、それがコモン限定構築、Pauperです。

Pauper、日本語表記だとパウパーですが発音はパーパーに近いようです。このPauper、基本的にはレガシーと同様に今まで発売したほとんどのカードを使用可能です。ただし以下の条件を満たしたもののみ。ドドン。

MagicOnline上でコモンカードとして収録されたことがあるカードであること。

そう、Pauperとはアンコモン・レア等の高額カードがそもそも使用禁止な、貧民の楽園なのです。お金がなくても環境トップクラスの強さを持つデッキをブンブンまわせます。最高ですね。なお、PauperはMagicOnline上の認定フォーマットのため、リアルな紙のカードを使う大会はほとんど開催されていません。昔のカードだとコモンでも結局高いですしね。デジタルゲームならではのフォーマットです。カードプールが広いため、コモン限定と言えどもあなどれないパワーを秘めたデッキが多く存在します。Pauper情報をまとめているブログなんかもあるようですので興味があればどうぞ。

今回重要なのはPauperがクリーチャー間の戦闘が頻発し、クリーチャー除去呪文はマナコストの軽さが優先されるために軽い赤の火力が多いという点です。グルマグのアンコウは5点のダメージを与えられない限り死亡しません。コモンのクリーチャーの多くはサイズに対してマナレシオに優れるものが少なく、5/5のアンコウと戦闘で相打ちをとれるレベルの生物はごくごく少数です。さらにPauperの赤い除去呪文は《稲妻/Lightning Bolt》《感電破/Galvanic Blast》等、タフネス5のアンコウを除去するためには2枚のカードが必要です。また、クリーチャーを直接破壊する黒の除去呪文は《破滅の刃/Doom Blade》《夜の犠牲/Victim of Night》等が採用されることが多いのですが、それぞれ「黒でない」「ゾンビでない」という制限によってグルマグのアンコウを破壊できません。Pauperにおいて重要な「高タフネス」「黒」「ゾンビ」という除去耐性を併せ持った生物、それがグルマグのアンコウなんですね。

もうひとつ、グルマグのアンコウにとっての追い風がPauperにはあります。それが青の軽量ドロースペルです。《思考掃き/Thought Scour》《留意/Mental Note》という1マナでデッキを掘り進めて墓地を3枚肥やすことのできる呪文が2種類コモンに存在します。2回打てばもうアンコウが1マナで出せますね。レガシーでも活躍している《渦まく知識/Brainstorm》《定業/Preordain》《思案/Ponder》ももちろん使用可能です。このようなコストの軽い呪文を連打して墓地を肥やし、手札に優秀なカウンター呪文である《対抗呪文/Counterspell》をキープしつつ、1マナでアンコウを繰り出す「青黒アンコウ」なるデッキがPauperで今猛威をふるっているようです。高速でアンコウを召喚、相手がアンコウを除去できる数少ない呪文を打ってきたら対抗呪文で防ぐ。これだけでOKです。4回パンチすれば20点で勝利。ドドン。グルマグのアンコウ最強。

まとめ:グルマグのアンコウはPauperで最も輝くコモンオブコモン、コモン王でした。

あるフォーマットではあまりパッとしないカードが、別のフォーマットでは輝き出す…そういうところもMTGの面白さだと思っているので、こんな記事を書いてみました。次回はちょっと考え中ですが、またMTGの話をすると思います。ではまた来週~


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かそりん

かそりん

趣味はマジック:ザ・ギャザリングと小説。好きなアニメはプリパラとマイリトルポニー。福島県から東京都に引っ越しました。
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