音楽×ファッションのカルチャー論 in UK

開幕早々HATEをぶちかまして申し訳ないんですが、僕は所謂バンドTシャツやツアーTシャツを着て「僕、私はこんな音楽が好きです!」なんてアピールをしている人達があまり信用できない

デザイン系だったりそのミュージシャンのライブへ行くならばともかく、ただロゴやジャケットがデカデカと印刷された物を普段着として着てきたら寝間着のまま外へ出てきたのか?と思ってしまうほどだ。ましてフェスの出演者が羅列してあるTシャツなんて論外。いや、だってダサいでしょ?アレ。

音楽はファッションと常に近しいものだったし、過去のバンドやムーブメントは必ずファッションにもスタイルを持っていた気がする。例えば90年代における全盛期OASISのライブへ来ている観客を見れば、彼らはアディダスやアンブロのジャージやスポーツシャツを着ていたはずだ。大半が労働階級であろう彼らにとってそれはOASISのライブに向かう正装だっただろうし、自分達がどういったグループに属しているかという事をアピールするスタイルだったはず。それは間違ってもバンドロゴが前面にデカデカとプリントされたTシャツなんかではないはずだ(あの手のTシャツはブランド物のロゴが全面に入った財布や鞄を身につけているのとさほど変わらないと僕には思える)。

ことイギリスという国においてはそういった音楽とファッションの繋がりが強かったようで、そんなミュージシャンたちの音楽だけでなく服装や佇まい、またファンのスタイルに至るまで憧れたりしたものでした。

そんな音楽とファッションの関わりについてUKロック(この言葉ダサいから僕は嫌いなんですが、分かりやすいので今回は使います)の歴史の流れで適当に説明出来たらなーというのが今回の記事です。ついでにそういったカルチャーを知る上で役に立つ映画も挙げておきます。

①モッズ

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We Are The Mods!We Are The Mods!We Are We Are We Are The Mods!

モッズはモダーンズの略。60年代ロンドンを中心に隆盛を極め、今でも世界中でカルト的な人気を誇っている。黒人文化のヒップな音楽や最新のビートバンドを愛し、気の効いた細身のスーツを着てイタリアンスクーターにまたがり街を走り、稼ぎは週末のクラブで踊り明かして全て使う…そんなイカした奴らの総称なわけです。定番アイテムはFRED PERRYのポロシャツ、BEN SHERMANのシャツ、Clarksのデザートブーツ、Levi’sのジーンズ、Vespaやlambrettaのスクーターなどなど…

個人的にモッズの大好きなところは、ロック=不良の音楽として、それまではロッカーズ(プレスリーなんかに影響されたアメリカンバイクにリーゼントと革ジャンみたいなスタイル)みたいなコテコテの攻撃的なスタイルが流行だったのを細身で気の効いた服装に加えて、当時は人種的な事もあって黒人しか聴かなかったソウルミュージックを人種の境を越えて愛聴し始めた、そんな既成概念に囚われないスマートなところ。それが今でもカッコよく思える要因な気がする。

何より彼らのファッションは今見ても(少なくとも僕は)かなりカッコよく感じる。だって細身のアシンメトリーデザインのスーツにデカめのミリタリーコートですよ?!!しかもコートを羽織った理由が「スーツがスクーターの排気で汚れちまうから」ですよ?!そんなのカッコ良すぎでしょ!?

ポロシャツみたいなそれまでテニスするボンボンが着るようなスポーツウェアを「体にフィットしてかっけえ」みたいな理由で着ちゃう何でもアリ感も堪らない。

おすすめモッズブランド

・FRED PERRY

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やっぱモッズといえばコレ。着るならもちろんMADE IN ENGLANDのフレッドペリーシャツ。ただ日本企画の物は学生向けっぽい変なデザインが多いのであんまり推せない。

・Clarks

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モッズはここのデザートが足元の定番。デザイン的にも機能的にも履きやすいし値段もそこそこ。

・Blues Dress

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純日本のモッズブランド。徹底的にモッズを研究したらしいモッズ的な服が心くすぐる。が、割とお高い…

おすすめモッズバンド

・The Small Faces

モッズゴッドのスティーヴ・マリオット率いるバンド。UK的なビートとソウル的な歌い方が実にモッズらしい。最高。

・The Strypes

まだ20歳くらいの若手モッズ。彼らのファッションとか音楽とかは現代風のモッズとしてめちゃ推してます。皆んなもう飽きてるっぽいけど、僕は推してます。

おすすめモッズ映画

・『さらば青春の光』

モッズ映画つったらコレ!!(大声)…ぶっちゃけそんな面白い映画でも無いんですが、登場人物のファッション見てるだけでも楽しい。

②スキンズ

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モッズの後に出てきた丸坊主サッカー大好きヤンキー軍団。所謂フーリガンであり、愛国極右集団という何とも厄介な輩たち。

とはいえそんな今で言うネトウヨDQN(違うけど)みたいな彼らでさえ確たるスタイルをもっていたのがかっこいい。こちらもFRED PERRYのポロシャツにブリーチした細身のジーンズとサスペンダー、そして何より大きめのDr. Martensを靴紐でグルグル巻きにして履くというスタイルを確立させた(靴紐は大抵白。白人である事の誇りだとか何とか)。他にもハリントンジャケットやちょっと前に流行ったMA-1、労働者階級の証としてのドンキージャケットなども好まれていた。音楽は黒人文化的要素をもつスカやロックステディ、レゲエなど…後期にはSHAM69に代表されるOiパンクなんかも流行したらしい。

かなりイカつい為似合う人は限られそうだけど、似合う人が着たら多分めちゃくちゃカッコいいという難易度は高めなファッション。

おすすめスキンズブランド

・Dr.Martens

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多分UKロックとか好きな人は大体履いたことあるであろうマーチン。色んな人が履いてるけどスキンズの細身のジーンズをロールアップ&長めの靴紐をグルグル巻きな履きこなしが一番カッコいい気がする。

・BEN SHERMAN

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モッズも着てたシャツブランド。ここの定番チェックシャツがスキンズの定番でもあるらしい。ただ日本からは撤退したのでもう古着くらいでしか売ってません…ちなみに本国現行の産廃ベンシャーマンはクソダサいのでNG。
おすすめスキンズバンド

・SHAM69

日本だとそれほど知名度も高くない気がする彼ら。モッズとの確たる違いはメンバーがややムキムキなところ。

おすすめスキンズ映画

・『THIS IS ENGLAND』

スキンズの映画つったらこれしかない。出てくる音楽とかファッションが最高。…が、これも話はそこまで面白く無い。

③パンクス

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ハードロックとかプログレなんかの長尺、技術力重視のロック全盛時代に面倒くさい音楽やってんじゃねー!って事で出てきたのがパンク。アメリカのラモーンズの服や音楽もカッコいいけど、やっぱロンドンを一瞬でひっくり返したピストルズの革命感がすごい。だって国歌と同じ曲名の曲(“God Save The Queen”)で「この国に未来はない!」みたいな歌詞を歌っちゃう訳ですよ。しかもヴィヴィアン・ウエストウッドが衣装を提供しマルコム・マクラーレンがプロデュースしてんだからそりゃ強いに決まってる。

パンクファッションはこのあとモヒカンやら鋲だらけのレザージャケットやらだんだんと過激な方向に向かう訳ですが、正直ああいうパンクファッションは僕はあんま好きじゃないです。ヴィヴィアンががっつりプロデュースしていた初期ピストルズの衣装こそオリジナルにして至高!と言い続けています。テディボーイの流れを受けた、イギリス的トラッドの要素をうまくぶっ壊したスタイルは反則的にカッコ良かった。

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ピストルズといえばシドがいた頃がビジュアル的に有名だがベーシストがグレン・マトロックだった頃は音楽的にもファッション的にも本当に洗練された格好良さだった。

おすすめパンクブランド

・Vivienne Westwood

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今でもコレクションを発表し続け多くのミュージシャンやセレブに愛されるパンクの元祖にして究極のブランド。ただ愛好家には「SEX」「セディショナリーズ」などのVivienne Westwood以前しか認めないオタクや「NANA」の影響で崇めているオタクなど厄介な人が割と多いので注意。

おすすめパンクバンド

・Sex Pistols

パンク大好きオタクどもはダムドやクラッシュの名前を挙げて通ぶろうとするが、いやいや、ピストルズが元祖にして究極だろ!気取ってんじゃねえ!と僕は言いたい。こいつらがいなかったらロンドンパンクは生まれてないと思う。

おすすめパンク映画

・『NO FUTURE』

ドキュメンタリーのような構成でピストルズの歴史を知れる一作。シドの伝記的映画『シドアンドナンシー』も有名だが別に僕はシドファンではないのでこっちで。

④ネオモッズ、ルードボーイ

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ビートルズやザ・フー大好きオタクだったポール・ウェラー青年が結成したTHE JAMがパンクブームに乗ってデビューして、その後どんどんビートバンドやらソウルやらの方向に行った事によってできたモッズリバイバルブームがネオモッズ。オリジナルモッズはブラックミュージックの影響が強かったけど、こちらはそんなモッズ音楽をパンクっぽくより速く、より洗練させた感じなので今でも聴きやすいです。ファッションもモッズを少しカジュアルにした感じ。ジャムだけ有名ですが同時期に出てきたネオモッズバンドも良いバンドが多いのでオススメです。

ルードボーイスカやブルービートといったジャマイカン系の音楽を愛した若者の文化でファッションとしてはモッズの流れをくんでいる。モッズを緩くした感じというかなんというか…実はルードボーイに関しては僕はそれほど通ってないので詳しい事は言えないんですけど、単純にスペシャルズマッドネスなんかの2TONE関係のバンドがクソカッコいいなと思います。

おすすめネオモッズブランド

・LONSDALE

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もともとはボクシングウェアでモハメド・アリなんかも着てたブランド。ウェラーが気に入った事からTHE JAMに衣装提供を始め一気にネオモッズの代表的ブランドに。

おすすめネオモッズバンド

・THE JAM

我らがモッドファーザー、ポール・ウェラー率いるネオモッズの代表バンド。神。ありがとう。

・Makin’ Time

女性ボーカルとオルガンが入ってるコテコテのモッズバンド。神。ありがとう。

・おすすめネオモッズ映画

ある…か…?強いて言うならTHE JAMのPV集はクソかっこいいから観たほうがいい。

おすすめルードボーイバンド

・THE SPECIALS

レゲエ+パンク=スカ。気だるげなスタイルにポップな曲。揃いのスーツスタイルも文句無しにキマってる(このライブはカジュアルな服だけど)。

おすすめルードボーイブランド

・Or Glory

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純日本産ルードブランド。現代でも着やすいデザインで値段もお手頃。

おすすめルードボーイ映画

ある…か…?『ルードボーイ』っていうタイトルの映画もあるけど、あれはクラッシュの伝記映画だった気がするので選外です。

⑤マッドチェスター

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80年代末から90年代初頭にかけてイギリスではマッドチェスターとシューゲイザーという最高な音楽が流行してた訳ですが、ファッション的な要素が強いのはマッドチェスターな気がします。今世間で大流行のバケットハットもUKロックファン的には”レニの帽子”です。ダボタボのトップスにアディダスのスニーカーといった感じも全然今でも通用する。

この頃からブリットポップ、更にそれ以降に至るまで労働階級=庶民的なものの延長としてUKミュージシャンの服装もかなりカジュアルなものになっていくので、これまでのような確固たるスタイルやブランドというものは無くなってくるのですが、まあその肩の力の抜けた感じもイギリスらしいといえばイギリスらしい。

マッドチェスターおすすめバンド

・HAPPY MONDAYS

マッドチェスターアンセム”24 HOUR PARTY PEOPLE”が素晴らしい。ただマッドチェスターにはボーカルがヨレヨレじゃなきゃいけないルールでもあるのだろうか。

マッドチェスターおすすめブランド

・adidas

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adidasというとヒップホップやストリートカルチャーを思い浮かべる人も多いだろうが、UKロックとの繋がりも実はめちゃくちゃ強い。マッドチェスターではローゼズのイアン・ブラウンが、ブリポ以降だとギャラガー兄弟がこよなく愛するブランド。イアンとノエル・ギャラガーにはそれぞれモデルのスニーカーまである。

マッドチェスターおすすめ映画

『24 HOUR PARTY PEOPLE』

マッドチェスタームーヴメント全体の伝記映画というべきか。この頃の音楽に興味がある人なら観て損はない。ジョイ・ディヴィジョンがスタジオ録音のシーンで「真面目に演奏しろ!」と怒られているのが笑える。

⑥ブリットポップ

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おそらくUKロック最後の国をあげた流行がこのブリットポップ。今まで挙げてきたムーブメントに比べるとコレ!みたいなスタイルは無いんですが、カジュアルズ(イギリスのファッションスタイルのひとつ。労働階級・フーリガン的な若者の流行り)的にジャージやスニーカーを着こなしたユルいスタイルは結構好きです。リアム・ギャラガーが何万人も入ったスタジアムコンサートにタンバリン片手に上下アンブロのジャージというもう完全に労働階級の若者の普段着姿で出てきた瞬間が、ブリットポップが大勝利した瞬間だった思う。デーモン・アルバーンの甘いルックスにフレッドペリーなんかを使った気の利いた着こなしも堪らなくカッコ良かった

カジュアルに着れて他のスタイルほど個性が強く無いため今でも充分気軽に真似できるという個人的に結構推してるスタイルです。

おすすめブリットポップバンド

・OASIS

オアシスをdisっとけば音楽通みたいな風潮、全くもって解せない。ストレートでポップで、ギャラガー兄弟のキャラクターも最高。こんなバンド二度と出てこないと思う。

・PULP

こんなにブリットポップなバンド他にない。”common people”は未来永劫ブリットポップのテーマソングであり続けると思う。

おすすめブリットポップブランド

・Weekend Offender

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カジュアルズ界のトップブランド(らしい)。センスあるパロデザインとか可愛くて気に入ってます。

・FILA

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なんかでデーモンがここのジャージ着てたんですけど、めちゃくちゃかっこよかった。

おすすめブリットポップ映画

・『Trainspotting』


映画作品としても評価高いトレスポは音楽といいファッションといいドラッグといいザ・イギリス!みたいな感じ。アンダーワールド最高。
?終わりに?

ここに挙げた以外にももっと色々と音楽とファッションが関わるカルチャーはあります。今回はヒッピーもメタルもグラムロックもグランジも触れられなかったし、もっと言うと今世間的に一番注目するべきはヒップホップとスケート、ストリートのファッションおよびカルチャーの関わりだと思います(多分それは僕より詳しい人がそのうち勝手に語ってくれる気がします)。

イギリスではファッションという物が自分の身分や所属しているグループを表すためのツールとして使われているイメージが強いです。どんな音楽を聴き、どんな地域で暮らし、誰を尊敬し、どこのフットボールクラブのフリークなのか…それらをファッションでアピールするのがイギリスの若者のスタイルなのでは無いでしょうか。そしてそれは服飾という文化の至極真っ当な在り方だとも感じます。

結局何が言いたいかって、好きな音楽をアピールするのにミュージシャンのロゴやツアー日程と会場がデカデカとプリントされたようなTシャツやトートバッグや缶バッジなんていうダサいアイテムを使うな!って事なんですよ(グッズ売り上げに貢献する事はいい事ですが)。ミュージシャンもファンにもしっかりスタイルがあるカルチャーが1番カッコいいと僕は思ってます。

というわけで今回の話はおしまいです。少しでも気になった文化がある方はリンクの映像やら映画から入ってみてください。

K.すみす

K.すみす

白とチーズとペンギンと音楽と野球
K.すみす

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