未来を小屋から見ろ――ルース・スレイビット「世界のヘンな建築」


秘密基地を作るのが好きでした。公園の片隅に、駐車場の端に、あるいはアパートの廊下の行き止まりに、調達してきたダンボールと持ち出したガムテープとで、手製の隠れ家をよく作っていました。当然雨が降るとすべて崩壊します。雨が降らなくても、時が来れば壊れ、また壊します。作り、住み、そして壊す。なんとなく昔の人類みたいな活動です。大人になり、そんな活動からは遠く離れた今になっても、どこか秘密基地のような隠れ家、小屋に憧憬を抱いてしまいます。まあこういうことを言うとだいたい「お前が実家暮らしだからだ」と返されるんですが…。

ということで、今日は最先端の小屋が満載の写真集、「世界のヘンな建築」のご紹介です。

変な建築表紙


小屋の何がいいって要するにアナーキーなところです。昔から隠者は辺鄙な土地に庵を結んで瞑想をしていましたし、今だって、ホームレスは言うに及ばず、土地買って掘っ立て小屋立てて暮らしているBライフの人、このブログの某執筆者など、掘っ立て小屋に住んでいる(いた)人はかなりの数います。

小屋はアナーキーで、自由です。小屋なので、場所を選びません。山奥だろうが、母屋の近くだろうが、どこでも立てることができます。例えばこの本の中には、過酷な無茶苦茶なところに建てている小屋(というか、テント?)がいくつか紹介されています。

アメリカはカリフォルニアのモジャヴェ砂漠には、「THERMALWING」という名のテントです。画像の真ん中。

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ハンググライダーではありません。

近くで撮った写真だとこんな感じ。

thermalwing1

よく見ると柱で固定されているのがわかります。

これ、日中は上のキラキラした翼の部分が日光をさえぎって涼しく、夜は逆にその翼を下ろすことで、熱を下にいる人に伝えることができます。

thermalwing3

治安の問題が少ない砂漠のため、こうした大胆な建築が可能になったそうな。これすごく泊まってみたい・・・。


街中でも有効に活用されている小屋があります。オーストリアのリンツにある「DAS PARK HOTEL」はこんな建物です。

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右のまるい奴がホテル。

土管みたいだな…ってそれもそのはず、これ不要になった土管を改造して作られた建物なんです。中はこんな感じになっています。

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結構快適そう。

読書灯とベッドのシンプルなつくりです。予約を取れば簡単に泊まれて、代金はカンパ制(!)。夏だけの利用らしいんですが、コンクリートのため結構涼しく人気だそうな。


そうはいっても、差し迫った住居問題に苦しむ都市のホームレスの方もいらっしゃるでしょう。今の小屋は、そうした人々へも手を差し伸べようとしています。メルボルンにある「PARK BENCH HOUSE」です。

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まあ日中はただのベンチなんですが、夜、寝るとなるとこう変形します。

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ハマグリみたいに座る部分が開くことで、その隙間に寝ることができます。路上で寝るよりはよっぽどマシ。これはまだ開発中とのことですが、早く実用化されることを祈るばかりです。我々みんなもいつホ-ムレスになるかわかりませんからね…。


以上、写真集から気になった部分のさわりだけご紹介しました。いや、もっとアナーキーな小屋とかもいっぱい載っていて、木の上に目玉みたいな形の小屋がつられていたり、おしゃれなゴミ置き場みたいなビジュアルの持ち運び自由な小屋だったり、まあ人ってのはよく考えるな、という感じの建物がたくさん紹介されています。こういう建物紹介の写真集は、どちらかというと変わったデザインの個人宅を紹介するものが多くてちょっと辟易するんですが、この写真集に限ってはそんなことはありません。実験的で、アナーキーで、自由です。かなり面白い。

原初、人類は掘っ立て小屋に住んでいました。おそらく未来にも、人類は小屋をつくり、それなりに快適に住んでいることでしょう。そんな未来の小屋の起源が、この写真集の中にはあるのかもしれまんね。

ということでまた来週。

くろさわ

くろさわ

労働の対価をだいたい飲料に費やす水飲み百姓。飲み物以外の話もときどきします。
くろさわ

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