八八


6955008d1c5a20e88d03cb4c65e0bfe6はとです。

今回は日本のロックバンド八十八ヶ所巡礼です。

06年東京で結成。

マーガレット廣井(Ba.と歌と主犯格)の必要以上に唸るベースと浮き浮きな歌唱が有り、

Katzuya Shimizu(Gt.と参謀と演技指導)の馬鹿なテクニカルギターが止むことなく降り注ぎ、

賢三(Dr.と極道と含み笑い)のタフなドラミングがそいつ等を増幅させる。

そんなちょっとやそっとじゃ想像できないロック音楽。

浮き浮きするプログレの端くれ。

それが『八十八ヶ所巡礼』だ。

―八十八ヶ所巡礼Official Siteより


新進気鋭ながらメディアへの露出がほとんどない為、なかなか謎に包まれているバンドです。外に向けた動きとしてはyoutubeで公開されているPVとネット上での僅かなインタビュー(3件しか見つけられなかった)くらいのものです。だので逆にいうと下記の一連のPVやインタビュー記事のリンクだけで現在アクセスできる情報は網羅できてしまうありがたさ(ブログの執筆者的に)があります。

「仏滅トリシュナー」

「PALAMA・JIPANG」

「霊界ヌ?ボ??」

「攻撃的国民的音楽」

包含される音楽性としてはサイケデリック・ロック、ハードロック、プログレッシブ・ロック、ポスト・パンク、その他色々……ですがそういった言葉だけでは言い表しきれません。異ジャンルのクロスオーバー/ミクスチャーというのは今時なにも珍しくないどころか無自覚にそれをやっているバンドも多いでしょう(ヴィジュアル系は特に顕著)。個性が際立つ時の要点は、手持ちのカードでどのようなデッキを構築するかという趣の話だと思います。端的に乱暴な表現をさせていただくなら、ニューウェイブな楽曲にスティーヴ・ヴァイ直系(※出で立ちも似せられています)のテクニカルなギターを輸入したようなスタイルが基本の型の一つになっていると見ています。昨今でどこのバンドに行っても持て余してしまいそうな技巧的なギタープレイを、あえてある種対極なポスト・パンクに際限なく散りばめている点は大変おもしろいですね。非メタルだからこそ、このようなギターが華型の飛び道具として活きに活きて成立しているのです。そうしたような一つのパートが変質的かつ過剰に突出バンドとしてD’ERLANGER(ドラム)やcali≠gari(ベース)などのバランス感覚を連想してしまいますね。

逆の観点でいうと、ドラムもハードロックタイプだと思いますが、そういったHR/HM要素との兼ね合いをうまく調節する機能をもっているのがベースであり、ニューウェイブ感満載の珍妙なフレーズのリフレインが自在にうねるというだけで、どこまで行ってもヘヴィ・メタルにはならないのだなという妙な感心を覚えます。

また演奏面のトータルバランスとしては3ピースの意義というものを感じさせます。ギターが1本しかない必然性も相まってか、スタジオ作品においても極力バッキングギターを省いているように見受けられ、最小限のトラックで一つ一つの楽器の存在が引き立ち、同時に生まれる隙間の空間によってスリリングな演奏に仕上がるわけですね。歌メロのある場面においてもギターの演奏はは容赦ありません。バッキングはなくとも、そんなソロパートかのような怒涛の速弾きリフはきっちりとユニゾン録りするあたりが異様なこだわりで、それは即ちアドリブ任せではない緻密なプロダクションであることを暗に証明していると言えましょう。

スクリーンショット 2015-05-30 23.18.03バンド内の和やかな関係性を伺わせます

そんな彼らのライブ・コンサートでの様子はどうなのか?スタジオ作品がしっかり作りこまれすぎていて、また少数の編成である分、生演奏はパワーダウンしてしまうというようなケースも少なくないと思いますが、それは杞憂でした。最低限の再現度を満たした上で生の肉体感があり、そのまま筋力を増強させた迫力があります。今年になって初めて2回ライブを見ることができたのですが、ブレない演奏、ギミックの再現性、口数の少ないMC(しかしユーモアがある)、SEや照明によるアングラな演出と、あらゆる面で隙のないパフォーマンスを印象づけられました。

そしてライブ会場に足を運ぶ者が感じる魅力としては、チケットが圧倒的に安いというところも挙げられます。技術と貫禄に対するコストパフォーマンスは近ごろのロックバンドでは随一なのではないかと思っています。将来的にどうなるかはわかりませんが、今のところワンマンのライブでは3,000前後でチケットを入手することが可能です。卓越したレコーディング技術を持ちながら、完璧に近い形のパフォーマンスを実現する魅惑の現場へ、今のうちにみなさんも軽い気持ちで行ってみましょう。

参考:
・ひよこNo.27 八十八ヶ所巡礼 – TOWER RECORDS ONLINE
・Fireloop Magagine [インタビュー] 八十八ヶ所巡礼 (2011年05月号)
・CLUB Que WEBSITE 八十八ヶ所巡礼 SPECIAL interview

鳩田 誠司

鳩田 誠司

ヴィジュアル系バンドとガールズ・ラブ作品への嗜好に傾倒後、失業。近年労働に復帰しました。
鳩田 誠司

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