メジャー会社のマイナービールについて

ヱビス、スーパードライ、プレモル、一番絞り…四大ビール会社が最前線へ送り出す看板商品の影には、ひっそりと生まれ、愛され、そして消えていくマイナービールが存在します。今日はそんなマイナービールの一部を少しだけ紹介します。

ちなみにここでいうマイナービールは「通年販売であること」「通常の小売店舗で市販されていること」「テレビ広告などをあまり打っていないこと」の条件を満たすビールとして考えます。精査してないのでもしかしたら微妙に基準を満たしてないのがあるかもしれないのですが、ビール警察の皆様におかれましてはその辺どうかご容赦ください……。

 


○キリン フレビア
・手に入りやすさ ○(セブンイレブンなどで手に入る)

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キリンから発売されているレモン果汁が入ったビール。「さわやかな香りでゴクゴク飲めるフレーバースタイル」というようなコンセプトで、若者向けの発泡酒だそうです。飲みやすければ若者向けってのもよくわかりませんが、まあそれはともかく。封を切るとホップとレモンの香りが混ざったようなフレーバーがしますが、グラスに開けてみるとレモネードのような香りに変わり、お酒の感じが薄くなります。飲むとCCレモンに近い味で、宣伝文句どおりさっぱりゴクゴク飲めてしまいます。ほろよいという感じで軽く飲んで済ます際にはオススメ。スクリューキャップなので飲みながら歩いてもよし。
実のところ、こうしたレモン風味のビールは結構昔から存在しており、例えば日本ビールからはその名もずばり「レモンビール」という商品が出ておりまして、ビールが苦手という人にちょっと飲んでみてよ、というような形ですすめるのに適していました。この「レモンビール」もわりと取り扱い店が少なく(最近だとカルディとかに置いてますが)、そんな中でこのフレビアが出てきたのでなかなかいいなあ…と思っていたら、最近サントリーが対抗商品出してきましたね。ラドラー。レモン風味のビールテイスト!の何かという商品で、形態も缶と瓶で出してバッチリ、というなかなか商売のうまさを感じる展開になっております。興味のある方は是非飲み比べてみてはいかがでしょうか。ちなみにラドラーはレモン果汁入ってません。
あとこういっちゃ何ですが、普通のビールにCCレモンを混ぜても結構似た感じになって美味しく飲めますので、余ったビールをもらってきて処理に困った際なんかにはぜひお試しください。


○アサヒスタウト
・手に入りやすさ △(仕入れている酒屋を探すしかない)

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アサヒがマジでこっそり出してる超本格派スタウトビール。公式サイトを見てもそのこっそり具合がなんとなくわかりますね。ぜんぜん宣伝する気ない。それもそのはず、全国各地にあるアサヒの工場でも、これを作っているのは大阪の吹田工場のみで、それも作っている理由はなんと「技術継承」のため。大企業の技術継承。ロマンしかねえ。これだけでも知ってさえいれば未だに「スーパードライwww」とかいって馬鹿にしている美味しんぼマンどもなんぞは全員捻りつぶすことができます(そんな人もういなさそうだけど)。
飲んでみた味ですが、とにかく濃厚です。カラメルのような複雑な甘い香りがして、口に含むと重厚な味わいが深く広がります。普段スーパードライなんか飲みつけている人がいきなり飲んだらぶったまげると思います。まったく違う。事実私の友人には「醤油ビール」なんていう人もいます。ただ、ビール好きからの評価は非常に高いです。もう鬼籍に入っておりますが、ビールの評論家にマイケル・ジャクソンという冗談みたいな名前の人がおりまして、世界各国のビールを飲み歩いた彼が日本のビールで唯一最高評価をつけたビールがこの「アサヒスタウト」なんです。有名な黒霧島の霧島酒造なんかもそうですが、デカイ会社が本気で造った酒はすごい。
ちなみにですが、日本のビール業界のルールでの「スタウト」は、有り体に言って「色が濃くて味も濃いビールならなんでもつけていいよ」みたいな無茶苦茶なことになっておりまして、本来の作り方に照らして本当にスタウトといって良いビールは四大ビール会社の製品の中ではこのアサヒスタウトだけになっています。
ここまでいろいろ書いてきましたが、難点は手に入りにくいこと。一部の特約店でしか手に入りません。しかもその特約店の情報がネットにあまりないという…。とりあえずお店でもいいから飲みたい!という人は、以下のお店に行くと飲めるはずです。両方東京なのが申し訳ないですが……。

・両国 ポパイ

聖地。タモリ倶楽部で知ってる人も多いのでは。ビール好きなら一度はどうぞ。

・新橋 ドライドック

めっちゃ美味いスーパードライが飲めるほか、地ビール輸入ビール各種勢ぞろい。もちろんアサヒスタウトも。


○アサヒ・ザ・マスター
・手に入りやすさ ×(後述)

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アサヒから発売されていたビール。初めて飲んだときはちょっと感動しました。美しい黄金色をした、ドイツらしい、キレコクのバランスが絶妙なビール。ある種の上等な日本酒を飲むと、それがあたかもアルコールでないかのようにスッと喉奥に液体が消えてゆくことがありますが、このビールにもそれと同種の質のよい「残らなさ」が存在していました。私はこれをよく西友でスピットファイアんかと一緒に買っていたのですが、一時期このマスターとスピットファイアが同時に消えたことがありまして、私は思わず「復活してくれ!!!」と投書したことを覚えています。前回の記事からもわかるとおり、スピットファイアのほうは見事に戻ってきてくれました。……ただ、アサヒ・ザ・マスターのほうは、もう二度と戻ってくることはありませんでした。
そう、このアサヒ・ザ・マスターは、2014年の11月に残念ながら終売になっています。ああ、正直に言って、このことを書くためにこの記事を書いているといっても過言ではありません。無念。今になって、もっと飲んでおけば良かったと後悔しています。孝行したい時に親はなし、飲んでやりたい時にビールなし。終売になったのは、多分単純にあまり売れなかったというというのもあるでしょうし、あと最近はスーパードライがドンドン進化していて、差別化がなかなか難しくなってきた、というのもあるでしょう。価格帯もだいたい同じだったし……。しかし当時、スーパードライの価格(200円程度)で、それより1ランク上のヱビスなどにも匹敵するようなものが飲めたというのは、やはりすごい、と思わざるを得ません。


以上ご紹介でした。えー、特に最後のビールの味については、多分に記憶の補正がかかっていますのでほとんど参考にならないと思いますが、まあどうせ飲めないからいいですね。思い出話ぐらいにとっていただければ幸いです。

最近はクラフトビールの流行もありまして、大手の会社もいろいろと新しい試みをした製品をどんどん送り出しています。この記事がそうした意欲的なビールに手を伸ばしていただくきっかけになったとすれば、これにまさる喜びはありません。ぜひいろいろ買って飲んでみてくださいね。

それではまた来週。

くろさわ

くろさわ

労働の対価をだいたい飲料に費やす水飲み百姓。飲み物以外の話もときどきします。
くろさわ

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