江波光則について

かそりんです。

MTGの話ができないので好きな作家である江波光則の話をします。

2010年に「ストレンジボイス(ガガガ文庫)」でデビュー、「パニッシュメント」、「ペイルライダー」を続けて刊行。2013年には星海社から「魔術師スカンクシリーズ」と銘打つ「ストーンコールド」「スピットファイア」「スーサイドクラッチ」の三冊を刊行。それと並行してガガガ文庫からも「鳥葬 ―まだ人間じゃない―」「密葬 ―わたしを離さないで―」「樹木葬 ―死者の代弁者―」の三冊。

以前に別名義で活動しているとの話もありますがここでは割愛します。
江波光則の書く本が好きな理由、いろいろあるんですけど「はみ出してしまう若者」を描いているところが一番好きです。学校にいられないほどのいじめを受けたから、父親の借金を背負わされたから、父親が新興宗教の教祖だから、父親の仕事の都合で七回転校してるから、父親が違法な手段で荒稼ぎして逮捕されたから。理由はそれぞれの作品で異なりますが、主人公は若い学生で必ずと言っていいほど道を踏み外し、普通の学生生活からはみ出してしまいます。

「俺の平穏な学生生活、これからどうなっちゃうの~?」ではないですが、はみ出してしまった後の世界はそれまでとはまるっきり違うんですよね。こういう自分の世界が広がる体験って、小説の主人公じゃなくても誰でも人生のどこかで経験したんじゃないかと思います。自転車で今まで行ったことのないゲームセンターに初めて行った時とか、自分のパソコンを持って初めてインターネットをやってみた時とか、まあそれに限らずいろいろ。

そういう瞬間って記憶の中ですごく美化されていくことが多いんですが、江波作品の登場人物である彼らはあまりきれいな思い出を持ち合わせていません。すごく暴力的で、殺伐とした経験から自分の世界を広げるんですね。彼らがはみ出してしまったきっかけを先に挙げましたが、彼らの世界は常に外部から、それも多くは直接的あるいは間接的に父親の手によって、無理矢理に拡張されています。自分というものを確立しつつある未熟な時期に、父親の存在を疎ましく思うのは自然なこと(らしい)です。反抗期とか。そんな時期に彼らは自らの望まないきっかけで、俯瞰的な視点を手に入れてしまったんだと思います。

あの時から一段階つまらなくなってしまった世界でどうやって僕は生きていけばいいんだろう。ある意味ではとてもナヨナヨした彼らなんですが、それを理解してくれる女性も必ず現れるのが彼らにとっての救いです。もちろん彼らは若いので、時にその手を振り払ってしまうこともあります。というかそうしないとすぐに話が終わってしまう。なんやかんやあっても彼らは救われるので江波先生は意外と優しいです。ハイ。

実は読めてない作品もあるんですが、ガガガの学園三部作と魔術師スカンクシリーズは読んでます。その中で一番オススメなのが「スピットファイア」です。学校で刃物沙汰を起こして今はフラフラしてる弦とオタクでチビでキレると何をするかわからない春鷹が「憂さ晴らし」のために、自分たちと全く関係ないいじめ事件の首謀者である凌麻にひたすら追い込みをかける本、と説明すればいいでしょうかね。あとはパイオツカイデーなチャンネーこと倫子、狂った刑事、逃がし屋夫婦と大量のヤク中と大量のヤクザ、そして謎の黒人魔術師スカンクがドンチャカワーイと刹那的なパーリターイムという感じです。ハイ。後先考えない彼らの「はみだし者」っぷりをご堪能いただければ、この記事を書いた意味もあるというものです。

ではまた。

かそりん

かそりん

趣味はマジック:ザ・ギャザリングと小説。好きなアニメはプリパラとマイリトルポニー。福島県から東京都に引っ越しました。
かそりん