メビウスの宇宙を越えて


 金曜日担当のRY0です。今回はGUNDAM EVOLVEについてですよ。

 GUNDAM EVOLVEは元々ガンプラの販促おまけとして作られたショートムービーのシリーズで、後に5作くらいずつまとめたものがOVAとして発売されています。ソフトは最初はローソン専売(IGLOOもそうだった)で触れにくかったのですが、今はTSUTAYAなどでも気軽に借りられるようになったのが嬉しいですね。

 肝心の内容は特に面白くはないものが多いというか、ゲームのムービーで培われたCG技術をフィードバックしたりなど、CG技術の実験作といった性格が強いです。しかし5と../9の2作はストーリーも絶品。というわけで、この項では前者のEVOLVE 5をご紹介します。

 

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 GUNDAM EVOLVE 5。「脚本:富野由悠季」の一言でおわりという感じもあるのですが、たった6分の映像でもすさまじい情感、さすがに演出の名手といったところ。

 

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 冒頭のアムロとクェスの対峙ですが、これは大人と子供の関係を端的に表しています。ここからずっとすごい。

 劇場版CCA(Char’s Counter Attack、逆襲のシャアの略です)ではラストで、アムロが「オレはマシーンじゃない。クェスの父親代わりなど出来ない」とはっきり言う(それくらい自分のことしか考えていない)シーンがあります。これに対してEVOLVE 5では、「彼の気持ちを想ったことがあるのか?」「そうだよクェス、あとは君の気持ちを繋げばいいんだ」といった具合で、アムロがきちんと大人の役割を果たします。

 それでハサウェイが完全に救われる。この結末だとハサウェイがマフティーにならないんですね。

伝説のニュータイプ戦士アムロ・レイと、人類を粛清しようとしたシャア・アズナブル。後に「第二次ネオ・ジオン抗争」と呼ばれる戦火の中、少年ハサウェイ・ノアは、その二人の男の生き様を目の当たりにした。そしてもう一人、彼の前に現れた少女クェス・パラヤは、その戦争を子供のあどけない瞳で見て、その感性を飽和させて死んでいった。そして、その戦いの中で彼もまたニュータイプとして萌芽しつつあったが、その若い目と耳で、初恋の少女の死を目の当たりにし、地球のために戦い宇宙の戦場で死んでいった多くの人々の魂の声を聴いた。

 ここで救われているのは実はアムロ自身もそうで、ご存知のとおり、アムロは一年戦争でシャアを庇ったララァを殺してしまい、ずっとその幻影に囚われながら生きています。一年戦争から7年後のグリプスでも同じ悲劇(フォウがジェリドからカミーユを庇って死亡)があって、しかもアムロはそれを感じていながら止められなかった。

 結局カミーユはそれが原因でどんどん心をすり減らしていって、最終的に発狂してしまいます。でもEVOLVE 5ではアムロがしっかり子供たちを導いて、哀しみを繰り返させない。成長した、成熟したニュータイプとしてのアムロ。当然アムロはこの後アクシズへ向かうわけですが、このアムロならシャアともわかりあえるんじゃないのかなと。

 「信じてみる」と、生命の光を感じながら走っていったクェスを見守って、アルパ・アジールからパージされたパーツとともに宇宙に佇むνガンダム。「人はわかりあえる」というおだやかな、しかし暖かい希望を感じさせて、幕切れです。

 これほどまでに感動的なショートムービーが他にあるでしょうか。いや、ない!(反語)

 なんだか長い時間が経ってもいまいち知名度が低い本作ですが、EVOLVE 5はこれからも新約CCA、富野監督のセルフアンサーとしておすすめしていきたいですね。

 それではまた来週!