Hotline Miami 2: Wrong Number ― カウンターに制御されるもの

tenkyoです。
というわけでここでは最近やったゲームの話でもしようと思います。

今回は『Hotline Miami 2: Wrong Number』について。

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この『2』は、2015年3月10日にPCおよびPSプラットフォームなどでリリースされました。
前作がリリースされたのは2012年8月23日ですが、僕自身がこのゲームに触れたのは2013年12月でした。
それ以来ずっとサントラを聞き続けたり、製作者と製作者を生み出した宇宙に感謝し続けたりと、近年ではかなりハマり込んだゲームかもしれません。

プレイを終えてしばらく経ちますが、思ったことをまとめておきます。

ドット絵をコンセプトにしたゲームは、インディー界隈ではかなり層が厚いという個人的なイメージがあります。
その中でも、たとえばBGMまでバリバリのチップチューンで固めたタイトルとしては、キックスターターで大成功の後にリリースされ、人気を博した『Shovel Knight』が記憶に新しいですね。

3Shovel Knight

『Hotline Miami』の場合は、ドット絵のコンセプトをベースとしつつ、現代風(便利な言葉)のエフェクトや音楽、奇抜な演出に深く読み解けるストーリーが重なって、特に異彩を放っているタイトルだといえます。とても中毒性があるゲームです。

さらに今作では1ステージあたりに固有の楽曲を割り当て、それぞれのステージが非常に印象深く、没入感のさらに高いものとなっています。


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ではまず前提として、僕自身が持っている『Hotline Miami』のイメージについて触れておきます。

まず、『Hotline Miami』の攻略の基本は、いわゆる「死にゲー」と呼ばれるジャンルのゲームの鉄則として、「手順の最適化」にあります。
プレイヤーと敵は互いに(ほぼ)一撃死であるので、プレイヤーは「強い武器を取る」「敵の場所と行動を覚える」「殺られる前に殺る」という攻略メソッドを根底にトライ&エラーを繰り返していくことになります。その中で、「ルートの最適化/取得武器の最適化/武器使用対象の最適化」等々を徐々に進めていった末に、ようやく生き残る方法を見つけられるという流れになります。

ちなみに今作では前作に比べてこちら側が敵を視認できない位置から一方的に攻撃されるケースが多発するようなマップ構成が明らかに多く、基本的にプレイヤーはビビりながらルートを模索するプレイスタイルを半ば強いられる形になります。
さらに言うと1マップごとのストロークが圧倒的に長く、クリア直前で画面外からショットガンを叩き込まれたり、覗き込みを使っても見えない位置からデブが全力疾走してきて殴り殺されたりしてフテ寝する、みたいなシーンも多かったのではないでしょうか。

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クリアのために手順の最適化=ゲーム内スキルの向上が必要になるという点で、『Hotline Miami』はいわば「競技型」のゲームであるといえるでしょう。「競技型」のゲームでは、スキルを向上させること自体がプレイヤーにとっての楽しみとなります。

また、「死にゲー」というコンセプト自体、往年のアーケードゲームを連想させますし、実際『Hotline Miami』のコンセプトにはアーケードゲームのモチーフが存在しているかと思います。アーケードゲームといえば、シューティングゲームなどのように、「競技型」の共通項として、最適解の模索を目的としたタイトルが多く見られます。

そして、アーケードゲーム然とした競技型ゲームには、揃いも揃って例のアレがあります。

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スコアカウンターです。
「敵の撃破」「コンボ」「タイムボーナス」等、ゲームによってルールは多種多様なものがありますが、プレイヤーの総スコアを親切にまとめてくれるやつです。

じゃあ、そのスコアってそもそも何なのよ?

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参考画像:初級者が一面でガチャガチャするだけで15億点取れるゲーム

「競技型」のゲームである以上、プレイヤーの義務はプレイ中に己のスキルを磨くことにあります。
スキルを磨く義務がある以上、ゲームの中には己のスキルを反映する指標があってしかるべきです。その意味において、「競技型」のゲームにスコアカウンターが配置されることは確かに頷ける事実です。
スコア表示があることで、己のスキルを数値化できますし、スコア表示がなされること自体がプレイヤー自身のヒストリーになり、ゲームにとってはリプレイを促す大きな動機になるといえます。

うーん。
ホントでしょーか。

実際、これまでに僕がプレイしたゲームの中には、創意工夫もなく単にカウンターを置いただけのようなシステムのものもありましたし、そのたびに興醒めすることもしばしばあります。

僕自身は「競技型」のプレイヤーではないので、スコアそのものを向上させ記録を塗り替えることに対してはあまり興味のウエイトを置いていません。『Hotline Miami』に対しても、最初のプレイ時はスコアの存在についてあまり重要さや楽しみを感じることは特にありませんでした。

それでも僕が『Hotline Miami』に感じた面白さは、確かに「スコアカウンターが存在しているから」生まれているものだと気づいたのです。

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少し脇道に逸れますが、たとえばスコアを取得することそのものの楽しさについては、『クッキークリッカー』がそれをはっきりと教えてくれました。

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このゲームの場合、「1クリック=1クッキー」という最小単位から宇宙レベルの秒速枚数に膨れ上がっていくあたりが大いに面白がれるポイントでした。さらに、そこに加えて「金のクッキー」というシステムがありましたが、これは「プレイスタイルに作用する」大きな要因だったと思います。

画面上にたま~に現れる「金のクッキー」をクリックして取得することで、「クリックでできるクッキーの数を 13 秒の間 777 倍にする」などの効果を得られ、いわばフィーバー状態となります。放置が基本の『クッキークリッカー』において、このフィーバー状態に突入することはプレイヤーにとってかなりレアな事態であり、それだけにフィーバー中の状態を「無駄にすまい」としてプレイするでしょう。一度でも『クッキークリッカー』を遊んでいて、金のクッキーを取得できたなら、一心不乱にクリックをした経験があるのではないでしょうか。
そしてそうしたくなるのは、「ハイスコアを狙おうとしている」というよりも、「フィーバー状態そのものを楽しんでいる」からなのですね。なぜなら『クッキークリッカー』には(僕の知る限りでは)「ハイスコア」という概念が存在しないからです。

『Hotline Miami』の「スコアカウンター」と「コンボ」についても、まさにこれと同じことがいえるのですね。
『Hotline Miami2』においても、コンボ中は獲得スコアが跳ね上がる、そんなプチフィーバー状態に、プレイヤーはいつでも入れるチャンスがあります。

コンボをもっと継続させようと考えたり、コンボを取得できるルートを取得するための動きを模索したりと、気づかぬうちにそのプレイスタイルは「スコア」と「コンボ」による影響を受けることでしょう。そして、そういった姿勢はどれも、「真剣にゲームに向き合っている状態」にあたるのですね。
「プレイに没頭している状態」と言い換えてもいいかもしれません。没頭できるから楽しいのか、楽しいから没頭できるのか……、卵が先かみたいな話ですが。

ともかく、こういった「フィーバー状態」を維持させようとするはたらきが、プレイヤーの「真剣にゲームに向き合う姿勢」を生み出し、それがストーリー/音楽/演出という「真剣に向き合えばさらに面白くなる要素」に合致することで、いわゆる中毒性につながっていくのかもしれません。

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なるほど、『Hotline Miami』においても、確かにスコアカウンターは重要な意味を持っていたのだなと、そう認識を改めた次第です。

ゲーム『Hotline Miami 2: Wrong Number』:10ガッチ!

tenkyo
Twitter: @tensato1


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