もがれてもがくハナモゲラ ? Flying Mijinko Band/微塵子空艇楽団 – Central Asian Tour/中央アジアツアー (1994年作品)


はじめまして。はとです。

音楽あるいは漫画に関することを中心に綴っていきます。近年主に嗜んでいるのは、音楽においてはヴィジュアル系、アニメ・声優関連、漫画においてはGL(百合)作品です。また、機会があれば個人で戯れに制作している楽曲を、この場をお借りして紹介できればと考えています。

こちらの共同ブログにおきましては、その多種多様性の一端を担うことができれば幸いです。

特に投稿する話題がないときには大変恐縮ですが成年コミック作品のレビューをさせていただきます。

はと @hatosan_great


今回は音楽CD作品について簡単に書かせていただきます。

Flying Mijinko Band/微塵子空艇楽団 – Central Asian Tour/中央アジアツアー (1994年作品)

019-flying-mijinko-band400

1994年、サックス奏者の坂田明ビル・ラズウェルとの共同プロジェクトとして敢行した中央アジアツアーの模様を収めた実況録音盤です。この作品が特殊であるのは、本公演が国際交流基金主催のもので、CDが図書館のみで取り扱われている点。つまり非売品なのです。

Flying Mijinko Bandというユニークなバンド名はミジンコ研究家としての顔を持つ坂田明らしさを感じさせ、大竹伸朗が手がけるジャケットもミジンコをモチーフとした鮮やかなデザインに目を引かれます。

肝心の本編は、坂田明とビル・ラズウェルを中心としたバンドに、セッション形式で現地のミュージシャンたちが加わった編成になっているようです。端的に言えば、各国の民謡を基にフュージョン、ミニマル、レゲエ/ダブなどにアレンジ、あるいは異国の伝統音楽同士を混ぜあわせており、クロスオーバーで、ある種のプログレッシブ・ロックであると言える内容です。
モンゴル、ウズベキスタン、アフリカ、トルコなどから多数の曲が盛り込まれていますが、やはりなんといっても日本民謡をカバーした楽曲が特筆されるでしょう。“新川古代神”“盛岡さんさ踊り”“秋田音頭”が趣をそのままにアグレッシブなフュージョンに仕上げられているのはとても画期的で、単純なかっこよさと、曲の性質上お祭りのような高揚感を覚えます。(じゃがたらやZAZEN BOYS的!)

ひとつ「Tsugaru Jongara-Bushi~Tsugaru Aiya-Bush」というトラックをピックアップさせていただきますと、そのタイトル通り“津軽じょんがら節”が三味線の独奏によりはじまります。三味線のみの古典楽曲の演奏ですから、基本的にミクスチャーな本編中では数少ない純然たる伝統音楽が流れている瞬間でしょう。3分程度してじょんがら節が終わると、間を置かずに“津軽あいや節”の演奏へと移り、それまでがイントロダクションであったということを示唆させたところで新たな局面を迎えます。和太鼓の合図で不穏なドローン(変化のない持続音)が流れこみ、津軽の唄にはない構成音が合流することでインド北西部におけるジプシースケールが完成するのです。
津軽からインドへ、モーフィングのごとき舞台の移り変わりは実に巧みな展開。完全五度のドローン上で、オリエンタルなスケールを妖艶に奏でるサックスとヴァイオリン、そして三味線・尺八を伴い一貫してオリジナルの旋律のまま津軽じょんがら節を歌いあげるボーカル……というカオスでなんとも不思議な感覚がありながらも、しっかり歌による軸を持たせており単なるミニマル/トランスに留まらないパフォーマンスに酔いしれます。

アルバム全体を通して演奏とアレンジメント、オリジナリティに優れており、坂田明関連の作品のなかにはアヴァンギャルドなものもありますが、本作は広く音楽ファンにアピールできるものではないかと感じます。また、ベーシストとして本公演に参加しているビル・ラズウェルによるエフェクトを含めた編集も聴きどころであり、アルバムの冒頭から締めくくりまで、広大な異境の世界を飛行船によって旅する錯覚とセンチメンタルを与えます。

特殊な形で発表された作品ながら、個人的にこれまで耳にしてきた音楽作品の中でも特に好ましく思うアルバムの一つです。10年以上も前になりますが、地元である茨城県の小さな市立図書館にも置いてありました。全国の図書館に配布されているとのことですので、みなさんもぜひ最寄りの図書館でこちらのCDを探してみてくださいね。

余談ではありますが、坂田氏はハナモゲラの元祖と言われています。

それではまた次回。


Central Asian Tour – Flying Mijinko Band

DISC1
1. Two fleet Steeds of Genshis Khan
2. Niikawa Kodaijin
3. Tugrugu Man fom Texas
4. Tsugaru Jongara-Bushi~Tsugaru Aiya-Bush
DISC2
1. Tsombon Tuuraitai Khuren
2. Gepee Busgui-Gooji Nanna
3. Leave Me 4 Wica
5. Sii Mai Yahlong
6. Akita-Ondo
7. Kelafa

Musicians:
Akira Sakata (reeds)
Febian Resa Pane (pf)
Asuka Kaneko (vl)
Shozan Tanabe (shakuhachi)
Michihiro Sato (tsugaru-shamisen)
Nicky Skopelitis (g)
Hiroshi Yoshino (double bass)
Bill Laswell (b)
Anton Fier (ds)
Aiyb Dieng (per)
Foday Musa Suso (vo,per)
Shigeri Kitsu (vo,per)
Kaori Kitsu (vo,per)
Epo (vo)

Recorded at Ulan Theater, Hohhot on September 21, 1994 and at The Japan
Foundation Forum, Tokyo, Japan on September 25 & 26, 1994
Recorded by Oz Fritz, and Shin-ichi Akagawa
Assistant engineers: Masahiro Mazda, Takanori Ishigami and Layng Martine
Mixed at Greenpoint Studio, Brooklyn, New York
Engineer: Oz Fritz
Produced by Akira Sakata and Bill Laswell
Executive Producer: Harumi Nakajima for the Japan Foundation
Production Coordination: Daphnia Inc.
Mastered by Oz Fritz at Greenpoint Studio
Mijinko Administration-USA: Tracy McKnight

はと

はと

ヴィジュアル系バンドとガールズ・ラブ作品への嗜好に傾倒後、失業。近年労働に復帰しました。
はと

Tags:,